アメリカの関税政策は巡り巡って中国を利する、アメリカの世界経済におけるシェア低下を補うだけの需要と輸入を独力で創出できる国は中国しかない

2024年のアメリカ大統領選挙以来、私はドナルド・トランプのアジェンダの様々な側面と、それがアメリカ、金融市場、そして世界にとって何を意味するのかについて定期的にコメントしてきた。混乱には事欠かなかったが、大統領の手際の悪さ、不規則な政策決定の「手法」を考えれば、それは大方予想されたことだった。

私が2月に指摘し3月に再度指摘したように、他国は自国の内需を高め、アメリカの消費者や金融市場への依存度を下げることで、トランプの攻撃性に対応するかもしれない。
現在の混乱に明るい兆しがあるとすれば、欧州と中国がすでにそのような変化を追求し始めていることだ。ドイツは「債務ブレーキ」を緩め、切実に必要とされている投資を可能にしようとしており、中国は国内消費を刺激するための選択肢を研究していると言われている。
新たな貿易協定が必要に
国際貿易と国際市場に依存している国にとっては、アメリカが貿易戦争政策を抑制するよう説得できたとしても、新たな貿易協定が必要になることは明らかだ。すでに多くの国が、貿易を拡大し、急成長しているサービス貿易における非関税障壁を引き下げるための新たな協定を結ぶ方法を模索している。
ブロックとしてのG7の残り(カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国)は、アメリカとほぼ同じ規模である。英国のキーア・スターマー首相が提唱する「有志連合」の他の参加国を加えれば、アメリカのかつての同盟国はトランプ大統領が与えたダメージの多くを相殺できるだろう。
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