荏原の新社長が激白「現状の売上高では中途半端。まずは1兆円を達成する」、規模追求と最適化で「真のグローバル企業」を目指す道筋とは?

――サクセッションプラン(後継者計画)を経て、指名委員会から新社長に選ばれました。どこが評価されたと考えますか。
当社は社長交代と同時に、6年かけて次世代の経営メンバーを選ぶ。30人ほどの候補者から始め、育成プログラムの中で絞り込んでいく。その過程は新たな社長1人を選ぶためのものではない。ディスカッションなどを通じて互いの人となりや考え方を知り、風通しのよい執行チームを築き上げることが目的だ。
そのため、最終候補者の誰がトップに立ってもおかしくなかった。私はエンジニア出身で、経営企画や海外子会社の事業責任者、直近はCFO(最高財務責任者)と多様なキャリアを歩んできた。こうした経験が、たまたま今の荏原が抱える重要課題にマッチしたのだろう。
よい状況だからこそ油断は大敵
――その重要課題とは?
2つある。1つは「好事魔多し」というように、よい状況だからこそ油断は大敵。私は経営企画の立場で、歴代社長と一緒に悪い時期(不祥事が相次ぎ業績も低迷した2000年代)からの立て直しに取り組んだ。経営トップのアクションで、会社がどう変わるのかを間近で学べた。何かネガティブな兆候があれば、すぐに察知して対策を打てる。
もう1つは、真の意味でのグローバル展開だ。当社の海外売上高比率は現状66%。今後はもっと高まるだろう。日本の市場も拡大するだろうが、海外のほうが早い。世界各地で現地のニーズに合わせた製品やサービスを供給し、かつ十分な利益を上げるために「全体の最適化」を果たさねばならない。
実現のためには日本と外国、という形で切り分けるのではなく、地球を1つの単位として捉える必要がある。私はアメリカの子会社に在籍していた頃、グローバルでの取引を経験する中でこの感覚をつかんだ。
――全体の最適化とは、具体的に何を指していますか。
当社の海外拠点は現在、それぞれが個別に最適化を追求している。よい面もあるが、非効率も多い。例えば、財務。現地会社が手元に必要な額を確保し、オペレーションに取り組めば、どうしても少し余裕を持ちたくなるものだ。それが積み重なると、グループ全体の資金効率が悪化してしまう。
大きな財布に各社をつなげて、お金の出入りを管理すれば、バラバラに持つよりも効果的に使える。人的リソースや在庫、ERP(基幹システム)についても同じことが言える。今までより一段高い視座から、全体にとって何が最も適しているのかを考えたい。伸びしろはかなりあると思う。
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