荏原製作所は次世代エネルギーの水素関連への投資を増やしている。
エネルギー立国を果たす――。石油やLNG(液化天然ガス)などを輸入に頼り、資源の乏しい日本を変えたい。そんな志で水素社会の実現を目指すエンジニアがいる。産業用ポンプ大手の荏原で水素技術(装置機器)課長を務める笠谷哲司さん(47歳)だ。
水や下水汚泥、廃プラスチックなど、さまざまな材料から取り出せる水素。発電や燃焼時に二酸化炭素(CO2)の排出もなく、経済産業省は「日本にとって究極のエネルギー源になる可能性がある」と位置づける。一方、移送の難しさが実用化における課題の1つとなっている。
水素は軽くてガス化しやすい。液体にして運ぶ必要があるが、その温度はマイナス253度。おまけに振動を受けると熱を持ったり、膨張したりもする。笠谷さんは、こうした過酷な条件下で使う専用ポンプの開発チームでマネジャーを務める。
高性能ポンプ設計の達人
このプロジェクトに関わる契機となったのは、社内の開発体制の再編だった。荏原は2020年、収益性を高めるため、注力するポンプの種類を選別。「一品一様」のカスタム製品では、将来性のある分野にリソースを割くと決めた。水素事業の技術面でのリーダー役として、笠谷さんに白羽の矢が立てられたのだ。
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