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世界が需要喚起へ動く低炭素水素市場の潜在力 各国がどこまで思い切った政策をやるかがカギ

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各国で低炭素水素市場の発展への取り組みが進む。その展望と課題とは。

世界で水素関連プラントが建設される中、政府や民間で需要喚起への取り組みが進む (写真:Nina Riggio/The New York Times)

水素社会推進法が5月に成立した。製造時に出る二酸化炭素が従来の手法よりも少ない「低炭素水素」を製造または輸入する企業を対象に、天然ガスなどの既存燃料との価格差分を補助することで低炭素水素の普及を促す。

低炭素水素とは、再生可能エネルギー由来の電力を用いて生産する「グリーン水素」や、二酸化炭素回収・貯留(CCS)技術を用いることで排出量を削減した「ブルー水素」を指す。これらは、化石燃料を用いて生産され生産過程で二酸化炭素を排出する「グレー水素」と区別される。

2023年9月に国際エネルギー機関(IEA)が発表した報告書によると、世界の水素消費量は年々増加する傾向にある。2022年には過去最高となる9500万トンに達する。その99%以上はグレー水素であり、低炭素水素のシェアは0.7%にすぎない。

水素に期待も需要とコストに課題

しかし、IEAによれば、2050年までに世界が排出ネットゼロを達成するシナリオでは、低炭素水素の消費量は2030年までに現状の100倍の7000万トンまで増加し、2050年までにさらに4億2000万トンまで増加する。現状、水素の主な活用は製油、製鉄、肥料生産に限られているが、将来的には航空・船舶・発電など、動力を燃料から電力に切り替えることが困難な部門における低排出エネルギーとして活用が期待されている。

低炭素水素普及の大きな課題はコストだ。ブルームバーグNEFによれば、グレー水素の平均的な生産コストが1キログラム当たり約2ドルであるのに対して、グリーン水素は6ドル超だ。しかも、足元ではインフレの影響で水素生産に用いられる電解槽から電気代まで一様に値上がりし、グリーン水素の価格も上昇傾向だという。

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