なぜ老子を学ぶと「弱い人」ほど勝ち続けるのか?部下が信頼する!リーダーがすべき「たった1つのこと」老子が説くリーダーの要諦!
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「上善如水」――、争わなければ、負けることはない(写真:Graphs/PIXTA)
水は物質のなかでは最も柔弱なものの1つです。器の形に合わせて、自らの形を変幻自在に変化させます。老子は、「優秀なリーダーは水のような柔軟性を持つことで大きな力を発揮する」と説きます。その真意は何でしょうか。MBAの戦略論で学ぶ老子の教えをまとめた『戦略書としての老子』を上梓した、神戸大学大学院の原田勉教授が、老子が説くリーダーの心得を解説します。
水はあらゆるものを打ち砕く
柔よく剛を制す。柔道の基本理念としても有名なこの言葉の原典は老子にあります。老子は次のように述べています。
天下で水より柔弱なものはない。しかも堅く強いものを打ち破ることにおいて水に勝るものはない。弱いものが強いものに勝ち、柔なものが剛に勝つ(柔よく剛を制す)のは、世の中で知らないものはいない。しかし、これを実行し得る者はいない。
老子にとって、柔弱さのイメージは「水」であり、水はあらゆるものを打ち砕く強さがあります。
老子に強い影響を受けた韓非子は、「水は方円の器にしたがう」と表現しています。水は器の形に応じて自らの形を変化させ、器が四角(方)であれば四角の形になり、それが円ならば円の形になります。しかし、水自体の固有の形というものはありません。それはあくまでも、対象に応じてその都度形を変えるだけです。
この柔弱の「柔」は「柔軟さ」を示し、「弱」は柔軟であるが故に「変幻自在」であることを意味します。弱とは特定の形、立場に執着しないということであり、逆にそれを守り切ることができるのは強となります。柔弱であるが故に、最終的に勝つことができるのです。老子は次のように続けています。
だから聖人は言う。「国の恥辱を甘んじてわが身一身に引き受ける者、これこそが国の主といい、国の不祥を甘んじて受ける者を天下の王という」。正しい言葉というものは一見反対のように見えるものである。
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