なぜ老子を学ぶと「弱い人」ほど勝ち続けるのか?部下が信頼する!リーダーがすべき「たった1つのこと」老子が説くリーダーの要諦!
では、なぜ水の柔軟さが強さを発揮することができるのでしょうか。その秘訣は「不争」にあります。老子は水について別の箇所で次のように述べています。
「不争」であれば、争うことがないため、負けることはありません。水は高きところから低きところに移る。多くの人が好むところではなく嫌うところに行き、そこにとどまる。もし、他の人たちが好むところにとどまろうとすれば、争いや勝ち負けが生じます。
水はそのような争いには関与せず、皆が嫌うところに進んでいく。だからこそ、争うことなく、最終的に大きな力を発揮することができるのです。
顧客満足くそくらえ!
たとえば、東海バネ工業(大阪市)という金属バネメーカーがあります。この企業がユニークなのは、その使命が「顧客満足くそくらえ」というものになっている点にあります。国内にはバネメーカーは3000社ほどあり、なかには最先端の技術や低コストを標榜する「先端企業」も少なからず存在しています。
そのようななかで、同社は自らは周回遅れの「後端企業」であり、コストダウンもままならず、コスト競争力は最下位に近い状態にあります。しかし、同社の利益率は高く、70年以上黒字が続いています。その秘訣は、周回遅れの後端企業でありつつも、不争を実現しているからなのです。
同社がこのような経営を行う契機となったのは、渡辺良機社長の欧州視察旅行での体験にあります。かれがフランスにある製缶メーカーの工場を見学したとき、50名ぐらいの作業者が仕事をしており、かなり劣悪な職場環境であったにもかかわらず、3分の1程度の作業者が若い女性でした。
そこで何でこのような職場で、若い女性がこんなにたくさん仕事をしているのかと工場の案内係の人に質問したところ、
一言、「給料が高いからです」と言われました。
当時の日本では、工場での現場作業者よりもデスクワーカーのほうが報酬は高かったので、何で現場作業者の給料が高いのか尋ねたところ、その案内人は、
「人が嫌がるでしょう。やりたがらないでしょう。だから、給料が高いのですよ」
と答えそうです。そこで渡辺氏はこれまでの経営の過ちに気づくことになります。同社はいままでできるだけ安いバネをつくり、それを顧客に売ろうとしていました。その方針を一掃し、今後は人が嫌がる仕事をすることで、言い値で買ってもらえる製品・サービスを売るように転換したのです。
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