なぜ老子を学ぶと「弱い人」ほど勝ち続けるのか?部下が信頼する!リーダーがすべき「たった1つのこと」老子が説くリーダーの要諦!
バネメーカーの主要な顧客は、自動車業界、電機業界、家電業界、情報・通信業界の4業界であり、バネ業界の売上のうち85%を占めています。これらの顧客は大量にバネを購入する一方で、値下げ要求もきわめて厳しい状況にあります。大半のバネメーカーはこれらの顧客をターゲットとして激しい価格競争を展開しているのです。
一方、東海バネはボリュームが少なく購買頻度も数年から数十年間隔の発電所、工作機械、一般向けのオーダーメードに特化しています。これらの顧客は通常のバネメーカーにとっては大きな売上や利益には直結しないため、オーダーを引き受けてくれるところはありません。東海バネは、このような一見すると儲からない顧客をターゲットにしています。したがって、競合他社も存在せず、言い値で買ってもらえることができているのです。
これはまさに衆人(=競合他社)の嫌うところ、嫌がるところをターゲットとし、顧客の要望に柔軟に対応することで収益を生み出すことに成功した例になります。皆が嫌がることに特化することで不争を実現し、最終的に勝つことができたのです。
敵を味方につける柔軟さが勝利につながる
老子が説くリーダーとはこのような柔弱さの力をフルに発揮するような者を意味します。このリーダーは、組織を柔弱なものとし、不争を実現することで戦わずして勝つことを実現します。それに加え、組織のみならずリーダー自体が水にならなければなりません。
水で譬えれば、川の上流は弱い勢いでしかありません。しかし、多くの支流から水を集めることで最終的には大きな勢いを得て、下流に到ればだれもそれをせき止めることはできなくなります。その結果、勝つべくして勝つことができるのです。
柔弱なものは勢いを増す機会を最大限生かすことができるとともに、あらゆるものが柔弱なところに集まってきます。それらが一体となって大きな勢いの塊になります。
おそらく戦国の世の覇者となる者とそうでない者との差は、ここにあると思われます。織田信長は敵を徹底的に殲滅することを常としていました。それに対し、徳川家康は信長に滅ぼされた今川氏、武田氏の遺臣を自らの家臣団に加え、豊臣秀吉が滅ぼした北条氏の遺臣も大量に採用しています。
三国志で覇者となる魏の曹操(そうそう)は、ライバルである袁紹(えんしょう)や、孫権(そんけん)、劉備(りゅうび)が黄巾の乱で敵を徹底的に叩き潰したのに対し、かれらを味方に引き入れることで勢力を拡大していきました。敵を引き入れるためには剛強さではなく、柔弱さ(たとえば三顧の礼で迎えるなど)が鍵となります。
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