IT音痴の管理職を減給・降格できますか? プロに聞く!人事労務Q&A 

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
質問
弊社の管理職はIT関連の知識が不十分な者が多く、若手社員からは仕事がやりにくいとの声が強まっています。そこで、管理職にはMOSや基本情報技術者試験などの資格取得を義務づけるとともに、一定期間内に取得できない場合は降格、減給としたいと考えています。「資格取得の義務化」「取得できない場合は降格、減給」とするのは問題がありますでしょうか。(卸売業:人事担当)

世間でよく耳にする「降格」とは、従業員の職位を下げるもの(部長から課長へなど)と、職能資格制度を導入している企業における上位資格から下位資格へ職能資格を下げることとして理解されています。また、減給とは、給与を減じることであって、一般的に降給や減給などと呼ばれています。

職位を下げる降格と職能資格制度上の降格

職位(部長から課長へなど)を下げる降格については、比較的、使用者の裁量権が認められていると解釈されています。担当部門の業績不振、その職位に対する適格性の欠如といった業務上の必要性により、人事権の濫用にならないかぎり対応することは可能でしょう。

なお、この場合の降給額については、一般的に役職手当を降給させるものであり、基本給の低下ではないことも裁量権が認められる根拠のひとつでしょう。
これに対して職能資格制度上の降格は、使用者の裁量権が狭いというように解釈されています。

職能資格制度とは、職務遂行能力に応じて資格等級を定めて格付けし、賃金管理を行う制度のことをいい、職能資格制度における上位資格から下位資格へ職能資格を下げることが降格として理解されています。

職能資格制度における職務遂行能力は蓄積されるものであり、いったん到達した職務遂行能力は失われないということを前提としています。身体的、肉体的なダメージを受けるよほどのことがないかぎり損なわれるものではないという考え方があるものの、実際に降格に値するほどの能力の低下があった、といった高度な要件を満たした場合には降格も可能であると判断します。

なお、この場合の降給額は役職手当ではなく基本給であり、基本給を下げる降格は、前述した職位を下げる降格より使用者の裁量権の行使に厳しさがあることを理解ください。

次ページ懲戒処分としての減給
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事