山折:葛西さんは国鉄改革からJR東海を経て、日本の新幹線事業に多大の貢献をしてこられました。そうしたご経験の中から、教育の問題について積極的に取り組んでおられます。海陽中等教育学校では、実践的な教育システムを作ろうという努力もなさっている。そうした経験も踏まえたうえで、日本の教育のあり方についてお話をできればと思います。
葛西:どうぞよろしくお願いします。
山折:まずは教育のあり方について考えていきたいと思います。国鉄、そしてJR東海で多くの新入社員を見てきて、最近の若い人について感じる特徴はありますか。
音として説得力を持つ文章が理想
葛西:私どもが大学を卒業して国鉄に入社した頃に比べると、一層いい子になっているという感じはいたします。荒削りとかパワフルとかいうものは失われていますが、非常に順応性の高い子たちが増えています。
我々の頃に比べて、だんだんアメリカ風になっているようです。我々の時分には、教養の基本として和漢混淆文をよしとするところがありました。文書を書くにせよ、ものを考えるにせよ、そうした前提があったように思います。しかし、最近の人たちは、「漢」の部分が抜けてきて英語が代わりに入ってきた。そのあたりから少し考え方の差が出てきているのかな、という気がする時もあります。
山折:私は葛西さんが書かれる読売新聞の「地球を読む」を読ませていただいていますが、実に歯切れがよくて、論理的です。まさに「漢」と「和」の言葉ですね。
葛西:ありがとうございます。私は古い世代でして。
山折:最近は、横文字がやたらと入ってくるようになりましたね。
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