
中に入って驚いた。女性がたくさんいたからだ。
トレドでマックに入ったときは敗北感でいっぱいだったが、マラケッシュではそんなことを思う余裕もなかったし、むしろほっとした。
モロッコのカフェは男性の社交場という位置づけのようで、店員も客も男性ばかりだった。数少ない女性客は基本的に男性と一緒に来ている。飲食店で接客をしているのも男性で、小さな食堂で店主の家族らしい女性に会計をお願いしたら、首を振って奥に引っ込まれてしまった。
女性一人客というだけで緊張を強いられるマラケッシュにあって、女性がマジョリティの店内に肩の力が抜けていくのを感じた。
注文する端末の言語を英語に切り替えメニューを見ていると、女性店員が操作を手伝ってくれた。改めて店内を見渡すと、女性グループだけでなく、女性1人客もちらほらいる。女性店員がヘジャブを着けていないのも新鮮だった。
マラケッシュのマックは女性が伸び伸びと過ごせる数少ない場所なのかもしれない。PC作業がしやすいテーブル席もありがたく、モロッコ旅行中は作業スペースを求めてマックを訪ねるようになった。
そうしてアフリカ唯一の高速鉄道駅に設置されたマックやフェズの芸術的なマックに出合うこともできた。


マックは灯台のような存在
日本でいつでも行けるマックにわざわざ入りたくないと思いつつ、海外でマックに救われることはままあり、漂流者にとっての灯台のような存在にも映る。
イスタンブールでは大規模な交通規制が敷かれた日に空港に移動することになり、雨の中を数時間歩いているときにマックを見つけた。店に入ると休憩中の警察官たちがハンバーガーを頬張っていた。

店内に設置されているオーダー端末。日本にいたときはあれを使うメリットがさっぱり分からなかったが、海外に出て、世界共通のシステムの安心感を実感した。
英語に言語を変更してメニューをじっくり吟味できるし、クレジットカードで決済して番号札を取ると、店員が商品をテーブルに持ってきてくれる。
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