「ポパイ」掟破りのサイト運営が映す、らしさの本質 雑誌創刊から約50年、ウェブでも独自の世界を展開

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紙の雑誌としての『ポパイ』は、大きく変えるわけにはいかないものの、「そろそろ次の『ポパイ』を作っていく時期に入っているので、まずは“飛び地”みたいなものを作ろうと考えました」(町田さん)。

“紙の支配から抜けられる場所=飛び地”を作る実験的な試みを、ウェブでやってみようと考えた。

宮本さんを抜擢したのは、「面白いヤツがいないと、面白いものは絶対にできないと僕は考えていました。まずは国分優くん(現・POPEYE Webクリエイティブディレクター)に声をかけ、編集者は誰にしようかと思ったとき、宮本くんが思い浮かんだのです」。

人柄に魅力があるから、世代や年代を超えて人が寄ってくる、集まってくる。宮本さんと国分さんに担当してもらうことにしたという。

宮本賢
『POPEYE Web』エディトリアルディレクターの宮本賢さん(撮影:今井康一)

『ポパイ』に限らず、さまざまな雑誌の編集部と話していると、「紙のほうが本道」「ウェブはあくまでサブ的な役割を担っている」といった感覚が意外と強い。マガジンハウス内でも、何となくそういう空気が漂っていたという。

「最初に町田さんから言われたのは、ウェブは楽しい仕事という空気にしてほしいということでした」と宮本さん。

編集者の顔が見えて、体温が伝わるウェブに

『ポパイウェブ』がユニークなのは、紙とウェブの関係を「主と客」「上と下」といった価値観でない、つまり「楽しい、楽しくない」といったところに持っていった点だ。

人は誰でも本当は、つまらないと思って仕事するより、楽しがって仕事したいものだから――宮本さんと国分さんが、楽しそうにウェブを作る姿が、編集部や会社にとって、ある刺激になったのでは?と想像が及ぶ。

「宮本くんと国分くんに、コンテンツについては、編集者の顔が見えて、体温が伝わるようなウェブにしてほしい。つまりコミュニティサイトみたいなものを作ってほしいと依頼したのです」(町田さん)

そこから2人は約1年間、技術的なことについて勉強しながら、「どうしたら『ポパイ』らしくて面白い場が作れるか」について、徹底して話し込んだ。それも企画書をまとめて練り上げていくのではなく、延々と雑談のような話を積み重ねていったのだ。

「雑誌の企画は、基本的に雑談の中から生まれると思っているのです。最初から効率を求めると、結果的に今までと同じものになってしまうので、あまり枠を作らず自由にやっていいと思っていました」(町田さん)

立ち上げてみてどうだったのか。

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