「ポパイ」掟破りのサイト運営が映す、らしさの本質 雑誌創刊から約50年、ウェブでも独自の世界を展開

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「今年は3年目に入っているので、成長期が一段落して、次の段階に入るところ。そろそろもっと広く読者に届くようにしたいと考えています(笑)」

もう少し読者を増やしたほうがいいと考えていると町田さん。ただし、それはPVを増やすというより、ほかのウェブサイトにはない根強い読者がついている現状を踏まえ、ここまで作ってきた深く濃い要素を、もう少し広げていくイメージを持ってほしいという。

ECを新しいビジネスに

また、町田さんは宮本さんに新しいビジネスの芽を育ててほしいとも要望している。その1つが、好調な伸びを見せているECだ。

「メディアにおける物販の可能性について、僕はかなりあるのではととらえています。もっと挑戦していってほしい」(町田さん)

今後の方向性について語る町田さんと宮本さん(撮影:今井康一)

実際、この秋に向けて、『ポパイウェブ』としてのオリジナル商品を、ある程度の群として売ってみる試みが進行中とのこと。「面白いことを、もっとやってみます」という宮本さんの姿は清々しいし、「楽しいことしかできないんです」という言葉には、混じり気のない誠実な説得力がある。

不思議なキャラクターの持ち主だが、実はこの“楽しさ”が、周囲を動かし、読者を惹きつけ、結果を出しているのではと思った。幸福な働き方が、宮本さんの仕事ににじみ出て『ポパイウェブ』の魅力につながっているのかもしれない。

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川島 蓉子 ジャーナリスト

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かわしま ようこ / Yoko Kawashima

1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了後、伊藤忠ファッションシステム入社。同社取締役、ifs未来研究所所長などを歴任し、2021年退社。著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)、『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)、『すいません、ほぼ日の経営。』『アパレルに未来はある』(日経BP社)、『未来のブランドのつくり方』(ポプラ社)など。1年365日、毎朝、午前3時起床で原稿を書く暮らしを20年来続けている。

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