『ポパイ』については、創刊から年月を経ていく中、読者層が高齢化するなどの課題が出てきていた。それを踏まえて2012年、大々的なリニューアルをはかり、勢いを盛り返した経緯がある。
「僕の仕事は、リニューアルで得た成果を大事にしながら、次の世代に向け、最適なパスを出していくことだと思うのです」(町田さん)
トップが代わると人事や仕事のやり方をガラリと変えることは少なくない。が、町田さんは「今の読者が求めているものに、ちゃんと答えていくことが肝要」ととらえ、過去からの財産の中で売れているものを大事にしていく――“らしさ”を継承する道をとった。
ただそれは、同じことを続けていく、繰り返していくことを意味しているのではない。読者が楽しんでいる文脈を大事にしながら、そこを掘り下げたり、新しい切り口で見せたりという工夫を重ねている。
「編集者とは『変えよう』と強く意識しなくても、たぶん変えたい願望が出てきておのずと誌面に表れてくると思うのです」(町田さん)
会社組織におけるマネジメントと同様、雑誌の編集におけるマネジメントについては、編集長が明確な方針を出して副編集長に伝え、それがキャップから編集員に下りてくる、というトップダウン式で動かしていくパターンもある。だが、町田さんは、「もっと自分たちでやっていくようにしてほしい」と考えた。
「言ってみれば、僕は外部から来た異分子みたいな存在。そんな僕が指示を出して雑誌作りをするより、編集員たちに動いてもらったほうがいいに決まっていると思うのです」(町田さん)。その意味では「編集部の人間に、どうやって火をつけていくかは、けっこう大事なことだし、僕がやれることの1つ」ととらえているという。
時には思い切って若いリーダーに任せる
現状の『ポパイ』は2〜3人のチームを組んで3班で回している。
「時には思い切って、若い子にリーダーをやらせてみることもしています」(町田さん)
ただ、それはリスクを抱えることでもある。
「そういう場合は、一緒に助走しながら、走り出すところまでは持っていくようにしています」(町田さん)
2021年3月には『ポパイウェブ』を立ち上げた。リーダーは30代に入ったばかりの宮本さんだった。ウェブを立ち上げた経緯はどんなところにあったのか。
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