消費社会へのアンチテーゼとして生まれた無印良品
無印良品が世に生まれ出たのは1980年のこと。西友のプライベートブランドとして、家庭用品9品目、食品31品目、計40品目からスタートした。
当時は「シャネル」や「エルメス」といったラグジュアリーブランドをはじめ、数々のデザイナーズブランドが仰ぎ見られていた時代。“人と違うこと=個性の表現”という価値軸のもと、差別化を競う消費が繰り広げられていた。
そんな時代に、あえて「無印」と記すことで、ブランドを否定した「無印良品」は、ある種の驚きとともに受け止められた。非日常における贅沢さや“感性”による価値を訴える商品が氾濫する中、「日用品における合理性を見直す」という視点も新鮮だった。
バブルに向かってさまざまな“モノの消費”が盛り上がっていく中、そういう社会や文化に対するアンチテーゼだった。高級であること、著名であること、斬新であること、トレンドであることなどをうたい、新しい商品を生み出しては“消費”していく――都会を中心とした“消費の大車輪”が回っていくことへの疑問を呈したのだ。
掲げられたコンセプトは「わけあって、安い。」。「わけ」とは、「素材の選択(ふだん見過ごしがちな素材を見直し、調達する)」「工程の点検(生産するプロセスにおける無駄を省く)」「包装の簡素化(過剰包装を避けて簡略化する)」に根ざしていた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら