高い?無印良品低迷、苦闘する"らしさ追求"の呪縛 金井政明会長が「難しさを感じている」と語る原因

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「僕はそれをやめてほしいと言うんだけど、『無印らしくするためには……』ということで、過去の商品・やり方を振り返って、“らしさ”を追う。そうすると、すでに多くの企業にキャッチアップされている方法なので、どこにでもあるようなモノになってしまうというサイクルに陥っている」(金井さん)

では、解決するためにどんな策を打っているのか。

小さな成功体験を作るところから始める

まず、「らしさ」をバックミラーで探すのではなく、無印の思想をもとに、暮らしや消費への違和感や、無印が目指す方向である「感じ良い暮らし」に向かうために望ましい方向を考え、想像し、発信し続ける仕事の仕方へシフトする必要があるという。

「現在の商品部のメンバーが無印らしさの重圧を感じているので、現場でお客さんと接している店舗のメンバーと、雑談的なブレーンストーミングをするところから始めています」(金井さん)。「こんな商品があったらいいのだけど、何で作らないの?」「この商品のここを直してくれるともっといい」など、お客の声や反応を直に感じている店舗のメンバーと話しながら、一緒にやれるところから取り組んでいるという。

当たり前のことと言えばそれまでだが、組織が大きくなると、縦割り組織の弊害で、販売の現場と商品部の連携がうまくいかなくなる。そこに横串を通す活動ということだ。また、これをかっちりした会議体ではなく、雑談からやっているのも一策と感じた。

重圧を感じているところに、「変えるべき」と突きつけるのではなく、「一緒に考えて変えていく」というフラットな土台から始めるのはうなずける。小さな成功体験を作るところから始め、徐々に広げていくという。

また店頭を見ていると、シンプルな定番にあえて手を加えたものがあり、ディテール違いの商品がいくつもあることで、逆にわかりづらいと感じたり、全体として散漫な印象を与えてしまったりしているところもある。

「無理してデザインしているところがあったので、そういうおせっかいなデザインを修正しています。もともと思想的に持っている、ノンエイジ、ジェンダーレス、ノンクラスターを具現化することや素材を探求することなど、本当の意味でのベーシックをやる。それはある意味でアバンギャルドになるのかもしれません。それこそが必要と思っています」(金井さん)

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