さらに「チューニングしなければいけない商品は、外部のデザイナーと一緒に進めているところです」(金井さん)。内部だけでは気づけない視点を、客観的な外部の視点を混ぜて補強しているという。
そもそも「無印良品」は創業時からアドバイザリーボードを持っていて、錚々たるクリエイターが名を連ねてきた。デザイナーの知恵を、随所に生かしていくのが得意な企業であり、そこを、若い知恵も含めて活性化していくということだ。
「地域への土着化」を掲げ、都会から地方へ
昨年9月、良品計画は「第二創業」を掲げ、大きな事業の転換を打ち出した。その核となるのが「個店経営を軸とした地域密着型の事業モデル」を作り上げることだ。“地域への土着化”を掲げ、地方における店やサービスの展開を進めてきている。金井さんは言う。
「かつては、地方に無印を作る必要はないという話をしていた。そもそも都会の商業があまりにもブランド志向だったり、店に入ってすぐに『いらっしゃいませ、何かをお探しですか』みたいにモノを売りつける店が多かったりしたことに違和感があったので、そこから逃れられる店を作ろうというのがあった。
僕は東日本大震災以降に『土着化』という言葉を使ったが、あのときに僕たちは地域に溶け込んで、もっともっと地域の人といろんなことをしないといけないと思って、少しずつ始めてきた。
そうやって地域に関わると、高齢化や人口減少、産業も含めてどんどん縮小していく大変さが気になってくる。店舗がもっともっとその地域と交流したりコミュニケーションしたり、もっと言えばそこの課題を一緒に解決していくような事業モデルを作りたいと思ったんです」
地方への出店を進めるだけでなく、新潟県上越市や山形県酒田市でクルマでの移動販売を行ったり、千葉県大多喜町では、廃校跡地を活用した産業振興と地域コミュニティーを活性化したりする取り組みを行ってきた。
そして「地域の土着化は、積極的に巻き込まれることが大事」と金井さん。東京から“上から目線”で行うのではなく、フラットな関係を大切にしていく。「巻き込まれる」はその姿勢を表しているという。「お互いさま、おかげさま、そういう感覚を根底に据えたい」(金井さん)。
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