訪日客は過去最高、それでも百貨店が苦戦する構図・・・ 高島屋は業績見通しを早くも下方修正、三越伊勢丹はアプリで海外優良顧客を囲い込み

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高島屋は子会社を含む国内百貨店12店舗のうち、日本橋と柏を除く10店舗で、今年3月から5月までの総額売上高が前年割れとなった(記者撮影)

6月下旬、東京駅に近い日本橋高島屋では、1階の化粧品売り場が大勢の客でにぎわっていた。多言語対応の販売員が丁寧な接客をする様子があちこちで見られ、多くの外国人客が買い物を楽しむ様子が目に留まった。

一方、2階のラグジュアリーブランドフロアに足を運ぶと客足はまばらで閑散としている。商品を尋ねる外国人の姿もほとんど見られず、1階の雰囲気とは対照的だった。

今、訪日客消費の「百貨店離れ」が加速している。日本百貨店協会の調査によると、2025年5月の百貨店免税品総売上高は425億円で、前年同月比40.8%の大幅減となった。免税品の売り上げは3月以降、前年を下回り続けており、3月は10.7%減、4月は26.7%減と、減少幅は月を追うごとに拡大している。訪日客消費の減速に歯止めがかからない状況だ。

これに対して、日本を訪れる外国人客は今年1月から5月にかけて1814万人(前年同期比23.9%増)。過去最高を記録した昨年の同じ期間よりさらに349万人増え、滞在中の買い物に使う支出額も増加傾向にある。訪日客が増加し続けているにもかかわらず、なぜ百貨店は訪日客消費の不振に陥っているのか。

「爆買い」を支えた円安基調

百貨店業界では新型コロナウイルスの水際対策が緩和されてから、免税品の売り上げは急回復してきた。昨年は年間売上高が6487億円(前年比31.1%増)。コロナ禍前(2019年)の3461億円を大幅に上回り、2年連続で過去最高を更新している。

好調を支えた大きな要因が円安だ。2023年12月に1ドル140円台で推移していた為替相場は、2024年6月ごろまでに160円台近くまで上昇。これに比例して、月ごとの免税品の売上高も増加した。その後、円安基調は一時落ち着いたものの、昨年12月から翌1月ごろにかけて再び160円台に近づくと、免税品の売上高も再び増加に転じた。

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