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大丸松坂屋とパルコ、訪日客消費で分かれた明暗とは?両社を率いるJフロント小野社長が明かした“業態の差"・・・今後の焦点は“目的性の強さ”

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小野圭一(おの・けいいち)/1975年生まれ。関西学院大学経済学部卒業。1998年大丸(現・大丸松坂屋百貨店)入社。2018年J.フロント リテイリング執行役、経営戦略統括部長などを歴任。2024年3月に社長就任(撮影:尾形文繁)

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百貨店では昨年まで続いていた訪日客消費の勢いが急減速し、大手の大丸松坂屋も例外ではない。一方、アニメキャラクターをはじめとしたジャパンコンテンツにちなんだ商品を多く取りそろえるパルコでは引き続き、インバウンド消費が好調で活況が続く。
業態によって訪日客消費の獲得に明暗が分かれる中、両社を傘下に持つJ.フロント リテイリングはグループ全体の今後の成長をどのように実現していくのか。小野圭一社長に直撃した。

渋谷パルコに行く“目的性の強さ”

――渋谷パルコに足を運ぶと多くの訪日外国人でにぎわっています。実際、同店の客数・売り上げともに絶好調です。

パルコは今、国内外からのお客様を非常にうまく集められる状況を作っていると思う。ラグジュアリーブランドは、どこにいても買えるが、パルコには「東京に来たら渋谷パルコに行きたい」というような“目的性の強さ”がある。

特にインバウンド客はSNSを中心に客同士で情報を拡散していく側面がある。渋谷パルコに足を運んだ人が、自国に帰ったあとも「日本に行ったら渋谷パルコに行くといいよ」と発信し、共有されることで、今のような状況につながっている。

時間がかかることだが、J.フロント リテイリング全体としても(渋谷パルコと同じように)店を「ディスティネーション(目的地)」にしていくことを今強く意識している。

昔であれば、乗降客数が多いターミナル駅に直結した百貨店が売り上げを伸ばせる状況だったが、コロナ禍を経て、わざわざ電車に乗って会社に通勤するということが当たり前ではなくなってきた。たとえターミナル百貨店だとしても「わざわざそこに行きたい」と思ってもらえる店にならなければいけない時代になってきている。

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