
JR渋谷駅から徒歩約10分。若者が集まるセンター街を通り抜け、雑貨店や飲食店が立ち並ぶスペイン坂を登った先に、ひときわ外国人旅行客が多く集まる場所がある。視線の先にあるのは渋谷パルコだ。
百貨店で免税品の売り上げが伸び悩む中、同店は着実に売り上げを伸ばしている。2024年度(2025年2月期)は、店頭での売上高にあたるテナント取扱高が過去最高の439億円(前期比22.5%増)。このうち、インバウンドによる取扱高は181億円(同57.4%増)で、全体の41.2%を占める。
直近の2025年3月から5月の業績も好調だ。インバウンド取扱高は48億円(前年同期比10%増)と、過去最高だった前期をさらに上回る勢いが続いている。
想定超える勢いで訪日客消費が上昇
「百貨店ほど高級ブランドの売り上げ比率は高くないが、その分、キャラクター関連商品やIP(知的財産)商品が大きな売り上げにつながっている」。渋谷パルコでインバウンド施策を担当する山口豪氏はそう話す。
同店は2019年11月、約3年にわたる大規模改装を経てリニューアルオープンした。当初から、総額売上高に占めるインバウンドの割合(取扱高シェア)を30%に引き上げることを目標にしてきたという。

改装前のシェアは20%にも満たなかったが、コロナ禍後の2023年度(2024年2月期)には、年間のインバウンド取扱高が115億円(取扱高シェア32.1%)を記録。そして、2024年度には取扱高シェアが41.2%にまで拡大し、当初の想定を上回る勢いで訪日客消費の取り込みが続く。
インバウンド消費を牽引する6階「CYBERSPACE SHIBUYA」は、人気ゲーム・漫画・映画キャラクター商品を扱うテナントが集積し、連日外国人客でにぎわう。渋谷パルコは2019年のリニューアル以来、「次世代型商業施設」としてエンタメ性の高い店舗を目指し、特に6階ではポケモン、任天堂、カプコン、『ジャンプ』などの公式ストア誘致で外国人客を惹きつけている。
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