訪日客は過去最高、それでも百貨店が苦戦する構図・・・ 高島屋は業績見通しを早くも下方修正、三越伊勢丹はアプリで海外優良顧客を囲い込み

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状況が一変したのは2025年2月ごろからだ。為替が円高基調に転じると、日本円で高額品を購入する際の割安感が薄れた。ブランド品の値上げ前の駆け込み購入の反動もあり、免税品の売り上げは徐々に減少し始めた。

訪日客消費の減速は、すでに大手百貨店の業績に影響が出始めている。

高島屋は6月末、2026年2月期の第1四半期決算発表に合わせて、通期業績予想を下方修正した。修正後の会社計画は、売上高にあたる営業収益が4930億円(前期比1.1%減)、営業利益が500億円(同13%減)。減収、営業減益となれば、新型コロナウイルスの感染が拡大した2021年2月期以来、実に5年ぶりとなる。

三越伊勢丹はアプリで囲い込み

そうした中、百貨店各社が今、積極的に取り組んでいるのが海外CRMだ。
CRMとはCustomer Relationship Manegement(顧客関係管理) の略で、具体的には専用アプリやSNSなどを通じて情報発信を強化したり、再来店や利用を促すためのサービスを提供したりする取り組みを指す。

伊勢丹新宿店では店内のスタッフや取り扱いブランドの販売員が積極的にアプリを紹介している(記者撮影)

三越伊勢丹は2025年3月、海外顧客用のWEBアプリ「MITSUKOSHI ISETAN JAPAN」の提供を開始した。スマートフォンにアプリをダウンロードしたあと、カメラにパスポートをかざすだけで簡単に登録できる手軽さが特徴で、提供開始からわずか約1カ月で登録者は4万6000人を突破した。

同社によればアプリを登録している国内顧客の方が、登録していない国内顧客よりも年間の購買額が2倍近く多いというデータがある。国内顧客向けと同じように、海外顧客向けにもコミュニケーションのためのツールを整備し、将来的にはアプリを通じて外商サービスの提供なども視野に入れる。

訪日客消費の急減少を受けて、海外顧客への対応を見直し始めた百貨店。為替など不安定な要因にさらされず、安定した収益につなげることはできるのか。厳しい状況の今だからこそ、顧客との向き合い方をさらに進化させていく時期に来ている。

本記事の詳報版は、東洋経済オンライン有料版記事「訪日客は過去最高、それでも百貨店が苦戦を強いられる理由とは? 高島屋は業績見通しを下方修正、三越伊勢丹はアプリで海外優良顧客を囲い込み」でご覧いただけます。
吉田 敬市 東洋経済 記者

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よしだ けいいち / Keiichi Yoshida

1988年生まれ。テレビ局記者を経て、2024年10月入社。現在はドラッグストアや調剤薬局の業界を中心に取材。流通・小売業のほか、人口減少、環境問題、災害といったテーマにも関心をもつ。大学時代は政治学を専攻。趣味はバスケットボール。

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