〈相場操縦事件〉SMBC日興証券の元幹部ら5人は有罪、「安定操作」と「共謀」の2大争点の判断は?

「それでは、開廷します」――。
7月22日午前10時ちょうど。東京地方裁判所の104号法廷で、江口和伸・裁判長が口火を切った。2023年5月に開かれた初公判から2年2カ月、60回を数えた公判を経て、ついに一審の判決を迎えた。
法廷で審理されてきたのは、2019年から2021年にかけてSMBC日興証券が起こした相場操縦事件だ(事件の詳細と裁判の争点は、「SMBC日興『相場操縦事件』の終着点」を参照)
6人のSMBC日興幹部と、法人としてのSMBC日興が起訴され、幹部1人とSMBC日興は起訴内容を認め、2023年に有罪判決が確定した。
だが、残り5人の被告は無罪を主張して争った。検察側が「主犯」だとした山田誠・元エクイティ部部長は今年3月の最終弁論で「無罪だと強く信じている」と発言。ほかの4人も異口同音に相場操縦への積極的な関与を否定していた。
だが、下された判決は執行猶予がついたとはいえ重いものだった。
山田氏の懲役3年(執行猶予5年)をはじめ、事件当時副社長で、被告の中で最も高い立場にあった佐藤俊弘氏は懲役2年6月(同5年)、株式に関する業務を管轄するエクイティ本部の本部長だったヒル・トレボー・アロン氏は懲役2年6月(同5年)を言い渡された。
さらに、「ブロックオファー取引」の所管部署、エクイティ・プロダクト・ソリューション部の部長だった岡崎眞一郎氏には懲役2年(同4年)、エクイティ本部の副本部長だったアヴァキャンツ・アレクサンドル氏は懲役1年6月(同3年)の判決だった。

株価変動を妨げる「安定操作取引」
裁判のポイントは大きく2つあった。まず、金融商品取引法違反の「安定操作取引」について、裁判所がどう認定するか。そして、山田氏とそれ以外の4人それぞれの間で、共謀関係が認定されるかどうかだ。
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