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〈相場操縦事件〉SMBC日興証券の元幹部ら5人は有罪、「安定操作」と「共謀」の2大争点の判断は?

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安定操作取引とは、特定の銘柄の株価を一定の範囲に固定するような売買を行うことを指す。一般的な相場操縦事件では株価を釣り上げたり、売り崩したりする「変動操作」が問題視されることが多いが、反対に株価の変動を妨げることも金商法の規制対象となっている。

今回の事件では、SMBC日興のブロックオファー取引の背後で行われていた、山田氏らによる株式の売買が、違法な安定操作取引だと指摘された。

ブロックオファー取引とは、上場企業の大口株主から、SMBC日興が株式をいったん買い付け、これを小口にして個人投資家に転売するという取引だ。政策保有株を減らしたい法人株主や、保有株式を手放したい創業オーナー社長などが利用していた。

大口株主は株価へのインパクトを抑えたまま株式を売却でき、個人投資家は市場価格より安く株が買える。証券会社も買い取り価格と売却価格の差額で収益を得られるというメリットがあった。

検察側は、このブロックオファーが事件の「動機」だと主張していた。当時、ブロックオファー当日に対象の銘柄がカラ売りされ、株価が大幅に下落するという問題が起きていた。

株価が大幅に下落すると、売却益が減ることを嫌がった大口株主がブロックオファーを「キャンセルする」可能性があった。このキャンセルを回避しようと、株価が下がりすぎないようにする目的で、違法な安定操作を行ったというのが検察の見立てだった。

一方、弁護側はSMBC日興が行っていた売買は安定操作取引に該当しない、と主張していた。

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