“日の丸・医療機器”キヤノン、富士フイルム、オリンパスの正念場…成長期待だったアメリカ・中国市場に異変、高すぎる「世界ビッグ3」の壁

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キヤノンの立ったままや座ったままで撮影できる新型CT(写真左)と富士フイルムが得意とする画像解析システムのイメージ(記者撮影、提供:富士フイルム)

「欧米メーカーにできて、日本メーカーができないという理屈はない」

キヤノンの御手洗冨士夫会長は7月の東洋経済の取材で、こう豪語した。「メディカルは希望の星」とし、今後10年かけて主力事業と並ぶ規模へと育てていく方針だ。

キヤノンにとってメディカル事業は、複写機やカメラに次ぐ「次の成長柱」として期待されてきた。国内のCT市場で首位を誇るなど、製品力には定評がある。そんな矢先に“キヤノン・ショック”が起きた。

キヤノンメディカルシステムズは2024年度に、のれんを中心に1651億円の減損を計上。東芝の医療機器事業買収から8年が経過し、順調に売上高を伸ばしているとみられていた。しかし減損により、当初想定していた成長シナリオが描けていない現実が浮き彫りになった。

「想定外の連続だった」──。キヤノンメディカルシステムズ社長の瀧口登志夫氏が現状をそう語るように、医療機器業界は転換期を迎えている

日米欧で業界再編

世界の医療機器市場規模は80兆~100兆円程度と推定され、このうち画像診断機器は約8兆円となっている。循環器系や外科系の治療機器では欧米企業が優位に立つ一方、CT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像装置)などの診断機器では日本企業も健闘する。

とはいえ売上高シェアを見ると、アメリカのGEヘルスケア、シーメンスヘルシニアーズ、フィリップスの3社で約7割のシェアを占める(イギリスのエバリュエート調べ)。いわゆる「ビッグ3」の壁は依然として高い。

業界勢力図も変わってきている。CTとMRIで長年、世界首位級であるGEヘルスケアは、2023年1月にGE(ゼネラル・エレクトリック)から分社化された。

かつてはテレビや照明なども手がけていた総合電機大手のフィリップスは、20年以上かけて段階的にポートフォリオの再構築を進めてきた。2021年に白物家電事業を売却し、医療分野への特化に舵を切った。

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