企業を取り巻く環境が激変する中、経営の大きなよりどころとなるのが、その企業の個性や独自性といった、いわゆる「らしさ」です。ただ、その企業の「らしさ」は感覚的に養われていることが多く、実は社員でも言葉にして説明するのが難しいケースがあります。
いったい「らしさ」とは何なのか、それをどうやって担保しているのか。ブランドビジネスに精通するジャーナリストの川島蓉子さんが迫る連載の第10回は日用品メーカーのエステーに迫ります。
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80年近い歴史を持つエステー
エステーは1946年創業の企業で、80年近い歴史を持っている。消臭芳香剤の「消臭力」、防虫剤の「ムシューダ」をはじめ、家庭で使う日用品の領域でおなじみの製品を扱っている。
社長を務めるのは鈴木貴子さん。創業家の娘として生まれ育ち、LVJ(ルイ・ヴィトン・ジャパン)グループなどを経て、2010年にエステーに入社。2013年に社長に就任し、低下傾向にあった利益をV字回復させた。
新型コロナウイルス関連の需要が一服した影響などもあり、直近2022年3月期の当期純利益は11億円にとどまったが、その前の2021年3月期は過去最高の25億円を記録している。
以前にお会いしたとき、真っ白なスーツをエレガントにまとっている姿が印象に残った。背筋が伸びた姿勢とやわらかい物腰、社員と交わす会話がフラットなのを魅力と感じた。こういうリーダーの下、日用品メーカーの老舗として、どんな“らしさ”を築こうとしているのか、聞きに行った。
鈴木さんは「ワードローブは白いスーツ」と決めていると言う。
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