｢伊藤忠｣高水準の利益を支える"現場主義"の本質 当期純利益は過去最高､その強さの秘密とは？

伊藤忠商事の「らしさ」に迫ります（撮影：今井康一）

2022年3月期は過去最高の当期純利益

伊藤忠商事のルーツは、初代伊藤忠兵衛が近江の地で事業を起こした1858年にさかのぼる。忠兵衛の家は繊維製品を扱う小売業を営んでおり、次男だった忠兵衛は卸売りを起業した。それから約160年。忠兵衛が起こした伊藤忠は、総合商社として確固たる地位を築くに至り、世界を股にかけたビジネスを展開している。

5大商社（三菱商事、三井物産、伊藤忠、住友商事、丸紅）の中にあって、伊藤忠は繊維や食品といった非資源部門で強みを持ち、「ジョルジオ・アルマーニ」「ランバン」「コンバース」「ポール・スミス」などのファッションブランドビジネスを手がけるほか、「ファミリーマート」や「ドール」を傘下に置き、「非資源ナンバーワン商社」を標榜している。

業績も好調だ。2021年3月期の当期純利益は4014億円と5大商社でトップに浮上。2022年3月期は資源価格の上昇があり、資源権益が少ない伊藤忠は三菱商事、三井物産に次ぐ3番手となったが、8202億円は過去最高だ。

筆者も2021年まで伊藤忠グループの企業に在籍していた。その後、この連載を始めてから、伊藤忠の“らしさ”とは何なのか、外部からの目線であらためて分析してみたいと思い、取材を申し込んだ。