「伊藤忠」高水準の利益を支える"現場主義"の本質 当期純利益は過去最高、その強さの秘密とは?

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また、伊藤忠の本社の隣には「ITOCHU SDGs STUDIO」という施設スペースがある。かつては飲食店や床屋などが入っていた複合商業施設だったものを、CBIが手をかけ、さまざまな企業発信を行う場に変えたのだ。

本社隣にある「ITOCHU SDGs STUDIO」(撮影:今井康一)

例えば「ITOCHU SDGs STUDIO GALLERY」は、SDGsのさまざまな取り組みを発信していく拠点であり、社内に限らず外部の企画展示も行っているし、その隣には「ITOCHU SDGs STUDIO Radio Station」というラジブースも設けられていて、J-WAVEで放送されている冠番組の収録を行っている。

「ITOCHU SDGs STUDIO Radio Station」ではラジオ番組を収録(撮影:今井康一)

昨年7月には「ITOCHU SDGs STUDIO KIDS PARK」というスペースを設けた。ここは、子どもたちが「遊び」を通じでSDGsと出会える場。遊びながらSDGs の考えを理解し、体感できる施設になっている。ギャラリーもキッズパークも無料で一般に公開していて、多くの人で賑わっている。それも、外部に委託するのではなく、CBIという組織が自ら動き、周囲を巻き込んで社外に発信している。

課題はグループ経営の強化

さまざまな取り組みを進める伊藤忠だが、一方で課題も認識している。

「伊藤忠は大きなコングロマリットで、グループ企業は300社程度、従業員は連結で12万人います。グループ企業が伊藤忠全体の収益の90%を稼ぎ出していますから、グループ企業の人たちがもっと一丸となって頑張れる施策を打っていく必要がある。グループ経営を強くするために、CBIとしてもグループ会社のすばらしさを伸ばしていける方法を考えています」(小林さん)

グループ企業それぞれの独自性を尊重し、活かしながら、大きな船団としてひとつ方向に向かっていくのは容易ではない。その際、企業のイメージ構築と発信を行っていくCBIの役割こそが問われてくる。あくまで現場主義を貫き、事実=ファクトを積み上げていく先に道を拓く――伊藤忠“らしさ”がグループとして束になっていく未来が期待される。

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川島 蓉子 ジャーナリスト

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かわしま ようこ / Yoko Kawashima

1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了後、伊藤忠ファッションシステム入社。同社取締役、ifs未来研究所所長などを歴任し、2021年退社。著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)、『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)、『すいません、ほぼ日の経営。』『アパレルに未来はある』(日経BP社)、『未来のブランドのつくり方』(ポプラ社)など。1年365日、毎朝、午前3時起床で原稿を書く暮らしを20年来続けている。

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