「伊藤忠」高水準の利益を支える"現場主義"の本質 当期純利益は過去最高、その強さの秘密とは?

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企業理念を変えるとなると、通常はプロジェクトチームを組み、議論と検証を重ねながら文言を吟味する。社内外に浸透させるためにブランドブックを作る、説明用の動画を制作する、メディアで広告を打つなどの手順を踏むものだ。ところが「三方よし」については、伊藤忠の中で普段から使われてきた言葉であり、「特別なことをやらずとも、社員の中に浸透していった感があります」と小林さんは言う。

グローバルな企業だけに「三方よし」を海外の従業員にどう伝えるかの議論もあった。通常であれば英訳するところだが、あえて「SANPOYOSHI」と表記することにしたという。「かつてトヨタの“改善”が“KAIZEN”として広まっていったように、”SANPOYOSHI”という思想も、企業の枠組みを超えて広がっていったらありがたいととらえているのです」(小林さん)。

社外の人が読んでも面白い社内報にリニューアル

社内報のリニューアルもCBIが行った仕事の1つだ。

それまで『ITOCHU MONTHLY(イトウチュウマンスリー)』という70年に及ぶ歴史を持つ社内報があり、グループ会社も含めた社員をはじめ、OB、OGなどに配布されていた。

ただ、『ITOCHU MONTHLY』は全社の活動報告やトピックスなど「どちらかというと壁新聞的な要素が強かったので、社外の方が見ても面白く読め、取っておきたくなるものを作ろうと考えました」(小林さん)。

社内報とは名のとおり、内部に向けた情報に特化するのが常道であり、それが偏ってくると、「情報が限られていて面白くない」「いつも似たような話題が載っている」に陥ってしまう。

だが、小林さんが意図したのは、広報誌として社外に発信することで、企業の姿を知らしめ、イメージを醸成するのに役立つ情報誌だ。社外の人が面白がる情報は、社内にとっても有用な情報になる――そこを目指した抜本的なリニューアルを行った。

刷新された広報誌の名前は『星の商人』。このネーミングは、2014年にコーポレートメッセージ(現在は企業行動指針)として発表した「ひとりの商人、無数の使命」を新聞で告知した際、岡藤会長の少年時代のイラストとともに、「少年よ、この星の商人となれ」というキャッチコピーを付したことに拠る。世界津々浦々で商いを営んでいる伊藤忠の役割と、未来に向けての指針を象徴する言葉としてタイトルに掲げた。

伊藤忠の広報誌『星の商人』と、その中の連載である「駐在員の旅案内」を1冊にまとめた『旅する星の商人』(撮影:今井康一)
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