【産業天気図・2008年度後半・09年前半集計】雨雲出現で一段と下り坂、視界不良の産業界
日本の産業界の上には黒い雨雲が広がり始めている。米国のサブプライムローン問題に端を発した金融不安はくすぶり続け、ついには米投資銀行大手リーマン・ブラザーズの破綻や米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)への公的資金投入等にまで発展している。未曾有の金融危機が襲う一方で、少し落ち着き始めたとはいえ原材料高や円高懸念も払拭できない。景況感が一段と悪化する中、2008年度後半は各産業とも、これまでないほどに先行きへの不安を強めている。
金融業界はまさに土砂降り状態だ。“リーマン・ショック”で日経平均株価が年初来最安値を更新するなど株価低迷が続く中、「証券」の見通しは悪化。前回(6月)には「曇り」と見ていた08年度後半の天気は「雨」へと後退した。「銀行」も投資信託の販売不振等に加え、融資先の破綻などが重なり経営は厳しくなる一方だ。野村ホールディングスがリーマンのアジア、欧州・中東地域事業の買収に乗り出すなど、今後金融業界では世界的な再編が一気に進みそうだ。破綻企業が相次ぐ「マンション/住宅」や「建設」でも冷たい雨が降り始めた。
一方、ガソリン高や相次ぐ食品の値上げに加え、景気先行き不安が増大したことで消費マインドも一層冷え込む。なかでも「外食」はこうした影響をもろに受け、08年度後半の天気は「雨」と前回予想から一段と悪化した。「百貨店」や「スーパー」「ホテル/旅行」など消費関連産業も一帯に雲が広がり、09年度になっても雲が明けることはなさそうだ。
これまで好調だった業界にも変化が出てきた。資源高を満喫する「商社」は08年度後半は引き続き「晴れ」となる一方、先行き不透明感から09年度前半は「曇り」予想となっている。さらに、需要低迷懸念から「石油・石炭製品」「建設機械」や「造船・重機」なども08年度後半は前回の「晴れ」予想から軒並み「曇り」へと後退している。また、前回唯一「快晴」だった海運も史上空前高となっていたバルチック海運指数(英ロンドン海運取引所に上場している鉄鉱石や穀物を運ぶ不定期船の運賃指標)の下落を受けて、見通しは「晴れ」へとランクダウンした。
真っ黒な雨雲が徐々に空を覆っていく中、各業界で再編機運も高まっている。「医薬品」は大手各社が海外大手を買収する動きが加速、「食品・飲料」業界でも明治乳業と明治製菓が統合を発表した。需要低迷にコスト高、さらに円高という逆風が吹き荒れる中、産業界は生き残りをかけた時代に突入することになりそうだ。
主要業種の天気予報図 (業種名をクリックすると各記事にジャンプします) |
業種名 | 天気図 | |
08年10月~09年3月 | 09年4月~9月 | |
建設 | ||
工作機械 | ||
建設機械 | ||
重機/造船 | ||
海運 | ||
空運 | ||
鉄道/バス | ||
パルプ/紙 | ||
石油/石炭製品 | ||
化学 | ||
ガラス/土石製品 |
(ガラス) |
(ガラス) |
鉄鋼 | ||
非鉄金属 | ||
商社 | ||
半導体 | ||
電子部品 | ||
精密機器 | ||
ソフト/サービス | ||
家電/AV | ||
情報/通信 | ||
放送/広告 | ||
食品/飲料 | ||
医薬品 | ||
自動車 | ||
百貨店 | ||
スーパー/コンビニ |
(スーパー) |
(スーパー) |
ホテル/旅行 | ||
外食 | ||
住宅/マンション | ||
銀行 | ||
証券 | ||
人材サービス |
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