【産業天気図・家電・AV】国内外の消費冷え込みと価格下落で曇り
08年10月~09年3月 | 09年4月~9月 |
世界的な消費冷え込みと歯止めのかからない単価下落を受け、家電・AV業界は2008年度後半、09年度前半とも「曇り」が続く見通しだ。このほど日立製作所<6501>がプラズマテレビ用パネルの自社生産から撤退、松下電器産業<6752>から調達を始める方針を明らかにしたが、テレビなどAV家電業界での合従連衡は今後も続く余地がある。
財務省輸出貿易統計によると、AV機器を中心とする民生用電子機器の輸出は直近の08年7月、1170億円と前年同月比7.1%の減少となった。同じく前年同月を下回った同6月の1.3%減と比べても低調感はさらに色濃くなっている。また、電子機器の生産・販売動向の先行指標となる半導体製造装置販売高は同7月、前年同月を57.3%も割り込む698億円にとどまっている。年末商戦に向けても、電子機器の生産・販売は厳しい状況が続くのは必至だ。
こうした中、従来から価格下落による採算悪化に悩まされていたメーカー各社はさらに厳しい環境に直面しそうだ。ソニー<6758>は今09年3月期、液晶テレビを前期比6割増の1700万台出荷し、テレビ事業の通期黒字化を目指している。民生機器事業を統括する井原勝美副社長は9月の新製品発表会で「テレビ出荷は国内外で計画線」と語ったが、地域別では欧米の販売動向が厳しいことも示唆した。折からの金融不安で、北米は書き入れ時のクリスマス商戦も不発が予想される。ソニー、韓サムスン電子が海外のテレビ市場で主導する低価格攻勢は、松下電器産業やシャープ<6753>の価格・販売動向にも影響しかねない。
厳しい業界環境の中、さらに注視すべきは中位以下メーカーの動向だ。パイオニア<6773>は日立製作所より一足早くプラズマパネルの生産から撤退、松下からの調達に切り替えた。だが、海外での販売が厳しく11年3月期の事業黒字化に黄信号が灯れば、松下との関係強化などさらなる経営判断も必要になりうる。また、ケンウッド<6765>と10月に経営統合する日本ビクター<6792>は、船井電機<6839>との協業などで液晶テレビ等ディスプレイ事業を来期黒字化する計画。だが、欧州・アジアでの拡販を期す販売面では決定打に欠け、苦戦が予想される。
【杉本 りうこ記者】
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら