【産業天気図・自動車】米国からの厚い雲で覆われつつも小型車シフトで局地的に薄日さす
08年10月~09年3月 | 09年4月~9月 |
ドル安、原材料高、そして北米景気の減速という“3すくみ”状況から、どしゃぶり一辺倒が予想された自動車業界だが、場所によっては「薄日」がさしてきた--これが第1カーブを曲がった時点での天気図だ。08年度後半は「雨」模様が続くが、09年度前半には雨もやみそうだ。
今回の米国景気減速は単なる減速ではなく、ガソリン高による小型車シフトを伴う。このため、車種構成次第で強いアゲインストの風にも、フォローの風にもなりうる。
ここのところ大型SUVやピックアップトラックに力を入れてきたトヨタ自動車<7203>や日産自動車<7201>は厳しい状況におかれているが、2社とも今2009年3月期業績予想は変えていない。新興国での販売伸長が補っていることに加え、期初1ドル100円で想定した為替レートが円安に動き、リーマン破綻で若干戻した現段階でもそれなりの「のりしろ」ができている。
やはり業績予想は変えていないが、増額余地が出てきたのがマツダ<7261>。期初の世界販売台数が9%増想定だったのに対し、08年4~6月期はマツダ3(アクセラ)を中心に非常に好調で、前年同期比11%増でスタートを切った。
一方、ホンダは今期見通しを減額。ホンダにとっても小型車シフトはフォローの風で、現にシビックを中心に乗用車は増産しているが、ライトトラックは5万台減産。さらに、原材料価格の上昇が期初の想定以上だったことで、早々と下方修正を決断した。
スズキ<7269>は想定線で推移。一時期厳しかったインドネシアの復調が効いている。ダイハツ工業<7262>は増額含み。新型タントが非常に好調で、同機種は単価が高く収益貢献も大きい。
この雲はいつ晴れるのか。トヨタは8月下旬に都内で行った経営説明会で09年予想販売台数を7%も下方修正した(1040万台を970万台に。すでに08年計画も985万台から950万台に下げている)。特に、北米をゼロパーセント成長とした点が痛い。欧州4%増、アジア6%増、その他3%増が補うものの、来年もまだ厳しい状況が続くことをうかがわせる。さらに、リーマン破綻によって、消費マインドが一層冷え込む恐れも出てきた。
【高橋 由里記者】
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