【産業天気図・ソフト・サービス】ソフト・サービス業界は金融や公共の大型案件一巡で08年度後半、09年度後半ともに曇り
08年10月~09年3月 | 09年4月~9月 |
ソフト・サービス業界は、これまで成長を牽引してきた金融や公共の大型案件の一巡したことで成長が鈍化しているが、今後の成長への打開策を見いだせずにいる。さらには景況感の悪化に伴ってIT投資抑制傾向も続いており、2008年度後半、09年度前半ともに「曇り」となりそうだ。
業界各社は金融や公共向け以外に、製造業向けや医療業界向けなど新規分野の開拓に注力中だ。しかし、新日鉄ソリューションズ<2327>や伊藤忠テクノソリューションズ<4739>など、製造業など新規分野のため開発費がかさみ、利益を圧迫する企業も出始めた。
一方、打開策として日系企業の海外進出に伴う需要を取り込むため、富士通<6702>やNTTデータ<9613>は海外会社の買収を急ぐ。野村総合研究所<4307>も10月にロシアに日本企業では初のコンサルのための事業所を開設。今後、日系企業の進出が予想される地域への種まきを開始した。
ただ、各社とも海外での成長を描くものの、グローバルに拠点を持つ欧米やインドのIT企業との競争も激化しているのが現状だ。これまで日本語という“障壁”に守られ、カスタマイズを重視する固有のビジネスモデルを築きあげてきた日本のソフト・サービス業界だが、今後はすでにグローバルに展開するインド・欧米企業との競争にどのように打ち勝つかが課題となってくる。こうした中、最近ではインドのIT企業と直接契約を結ぶ事例も出てきた。たとえば、伊藤忠テクノソリューションズ<4739>はインドIT業界3位のウィプロと、日本ユニシス<8056>は同じく2位のインフォシス・テクノロジーズとの提携に活路を見いだそうととしている。
大手企業が大型案件不足に苦戦する中、手堅く成長するのが、金融や公共向けの需要に依存せず、中小・中壁企業のIT需要を掘り起こすオービック<4684>や大塚商会<4768>だ。大手顧客に依存しない経営で、今期以降も着実に業績をあげるだろう。
【麻田 真衣記者】
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