【産業天気図・放送・広告】企業業績の悪化で広告出稿量が減少で08年度後半は雨模様。厳しい状況続く
08年10月~09年3月 | 09年4月~9月 |
放送・広告の2008年度後半は「雨」、09年度前半も「曇り」と厳しい収益環境が続きそうだ。前回の「産業天気図」では08年後半を北京オリンピック後の景気回復に期待して「晴れ」と見ていたが、景況感悪化で企業業績はますます厳しさを増すばかりで、頼みのスポット広告出稿量も当面低空飛行が続きそうだ。
放送・広告の08年4~6月期は民放キー5局(フジテレビジョン<4676>、日本テレビ放送網<9404>、TBS<9401>、テレビ朝日<9409>、テレビ東京<9411>)と、広告代理店大手3社(電通<4324>、博報堂DYホールディングス<2433>、アサツー ディ・ケイ<9747>)がすべて前年同期比で減益決算となった。最大の原因はテレビ番組の間に放送されるスポット広告の不振。なかでも取り扱い金額の大きい飲料・食料品業界や化粧品・トイレタリー業界、自動車業界など大手広告主が出稿量を削減。特に5月の東京地区のスポット出稿額は前年同月比80%前半と過去10年で最低レベルの水準まで落ち込んだこともあり、フジテレビ以外は軒並み業績予想の下方修正に追い込まれた。
足元の7~9月期のスポット広告市況は前年同期比で依然として減少が続いている。8月の北京オリンピックも、風向きを変えるほどのインパクトに乏しく、08年度前半の決算は4~6月期に続き、全体的に厳しい数字が並ぶだろう。
焦点となるのは今09年3月期後半の動向だが、各局の後半のスポット収入の前提は各局バラバラ。フジテレビは前年同期比1.6%減、日テレが同3.6%減と比較的落ち込みが小さいのに対し、残りの3社を見ると、TBSは同11.2%減、テレ朝が同7.8%減、テレ東が同9.0%減とかなり悲観的な見方をしている。というのも、「後半どうなるかまったくわからない」(キー局幹部)のが、テレビ局、広告代理店の本音だ。
いずれにしても後半のスポット広告出稿量も減少する見通しであることは変わらない。広告出稿量が増えるには、景気回復などによる企業業績の改善に期待するしかないが、足元の景況感はますます悪化しており、当面、厳しい環境が続くだろう。
【中島 順一郎記者】
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