【産業天気図・電子部品】需給バランスが悪いうえ製品単価も低下、天気は曇り継続

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予想天気
 08年10月~09年3月   09年4月~9月
 

電子部品業界を取り巻く環境は、当面厳しい状況が続くだろう。企業業績は2008年度から09年度にかけて回復緩慢の見込み。業界天気は08年度後半、09年度前半ともに「曇り」とみる。

業界団体の電子情報産業協会が調べた電子部品グローバル出荷統計によると、出荷額は05年3月から07年12月まで34ヶ月連続で前年比プラスを記録していた。ところが、08年1月以降は6ヶ月連続で前年割れが続いている。
 
 今09年3月期初はサブプライムローン問題などを起因とする日米景気の鈍化懸念から、家電メーカーなどが電子部品の仕入れに慎重な動きをしたようだ。期待された北京オリンピック特需も「結果的にはなかった」(京セラの川村誠社長)。製品の値下がりも「想定していたよりも厳しい状況だった」と、大手部品メーカー関係者は打ち明ける。韓国、台湾など海外メーカーの台頭で、ここ数年製品単価は低下傾向。例えば、代表的な電子部品であるコンデンサーの汎用品の場合、一年ごとに10%も値下がりするが、今期初は「さらに厳しい価格交渉があった」(関係者)。需要が伸びない中、シェア確保のために値下げに踏み切るメーカーが少なくなかったようだ。

この傾向は当面続きそうだ。まず、悪化している需給バランスに改善の兆しが見えない。薄型テレビ向け部品は7月に底打ち感が出ているが、製品需要が明らかに鈍化傾向で「力強い拡大」というレベルの見通しはない。一方で、京セラ<6971>や村田製作所<6981>、TDK<6762>などの各社はここ数年、生産設備を増強しており、この積極投資が裏目に出ているのが現状だ。また、供給過剰と海外メーカーとの競争激化による単価引き下げが続くことも十分に考えられる。
 
 こうした中、業界大手の間で、今09年3月期は減益予想が続出している。京セラ、ローム、村田製作所に加え、コンデンサー大手のニチコン<6996>、磁気ヘッドが収益柱のTDKなどが、軒並み減益を見込む。さらに、来10年3月期も期初は回復が緩慢となる可能性がある。

汎用品の値下げ圧力を回避するために、各メーカーは小型化・高性能化製品の開発を加速する。ただ、こういった動きは、短期的には企業業績を押し上げする効果にはなりにくい。研究開発費や設備投資に伴う減価償却費負担が、企業にとってさらなる重しとなることも考えられる。業界に覆う「暗雲」は、当面は払拭しないと見てよいだろう。
【梅咲 恵司記者】

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