【産業天気図・ホテル/旅行】ホテル・旅行業界は08年度後半、09年度前半ともに曇り。旅行会社では業界再編の機運も
08年10月~09年3月 | 09年4月~9月 |
ホテル/旅行業界の2008年度後半は、ホテルは景気低迷に伴い宿泊部門が弱含みで、旅行は燃油サーチャージの負担に伴う海外旅行需要の減少から、「曇り」となりそうだ。09年度前半にかけては、特に海外旅行に好転材料が乏しく「曇り」の状況が続きそうだ。
全国233のホテルが加盟する全日本シティホテル連盟によると、今年4~7月までの月次の客室稼働率は64.1~69.2%。7月はレジャーの「安・近・短」志向から稼働率は回復したものの、6月まで7カ月連続で前年割れが続いていた。帝国ホテル<9708>の4~6月期の稼働率は78%と、前期実績に比べやはり3ポイントのマイナス。同社の場合、世界経済の変調による外国人客の減少が足を引っ張った。下期にかけて宿泊部門の弱含みは続く見通し。ただし比較的利益率の高い宴会・婚礼の受注が堅調なことから、今2009年3月期の増益計画は変えていない。
藤田観光<9722>は、椿山荘の宴会・婚礼は改装効果もあり堅調だが、やはりフォーシーズンズホテルの稼働率低下が足を引っ張る構図。業績の牽引役であるワシントンホテルも立地によって好不調が目立ってきた。下期もホテルは底ばいが続きそう。もともとワシントンホテルの建て替え等で08年12月期は減益見通しだが、会社計画より減益幅は拡大しそうだ。
一方、旅行業界は海外旅行低迷の影響を大きく受けている。1~7月までの出国日本人数は前年同期比5%減(暫定値、日本政府観光局)。景気低迷に加え、航空会社が普通運賃に付加する燃油サーチャージの負担が旅行需要に大きく影響している。サーチャージは10月にもう一段上昇する見通しで、当面海外旅行の減少が続きそうだ。そのため、エイチ・アイ・エス<9603>の08年10月期は増益計画の達成は難しく、前期比10%減を超す営業減益を余儀なくされそう。KNT<9726>の08年12月期も、会社側は営業増益を計画するが、達成は困難な状況にある。海外旅行については09年も好転する材料に乏しい。今後航空会社が旅行会社に支払う販売手数料の見直しと相まって、業界再編が加速する可能性がある。
【並木 厚憲記者】
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