【産業天気図・工作機械】底堅いが“リーマン・ショック”と円高が雨雲を呼び寄せる恐れ

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予想天気
 08年10月~09年3月   09年4月~9月

工作機械業界の2008年度後半の天気は前回(6月)示した「曇り」予想自体は今回も維持、09年度前半も「曇り」と予想する。しかし、高い国際競争力で5年間受注増を続けてきた、さしもの工作機械業界の頭上にも、次第に黒い雨雲が広がり始めた感が強い。

業界の不安をかき立てているのは、言うまでもなく“リーマン・ショック”だ。これが工作機械受注に与える影響は「何人といえども予測がつかない」と日本工作機械工業会の中村健一会長。同ショックの前、8月の受注実績でさえ前年同期比13.9%減の1118億円で、実に02年7月以来73カ月ぶりの2ケタ減。内需が自動車向けを中心に13.6%減の466億円と7カ月続きで前年割れしたうえ、これまで底堅かった外需までが前年比14.0%減の652億円と3カ月連続のマイナスになった。内外の景気後退を反映した、この受注軟化にリーマン・ショックと、それに伴う円高が追い打ちをかけようとしているのが、現在の状況だ。業界で今年前半聞かれた「秋以降、自動車産業からの受注が動き出す」との期待は、どこかに吹き飛んでしまった。

ただ一方で中村会長は、「不透明ではあるが、どん底の不透明という訳ではない」とも語る。そもそも8月の受注減は昨年8月の外需が好調だった反動減の側面がある。加えて「医療や航空機、軍需など米国が強みを持つ産業からの需要は根強く、特に大型機械は絶好調」。昨今のドル安も追い風となり、リーマン・ショックの直前に開かれた工作機械の世界3大見本市の一つ、IMTS2008(9月8~13日)の際、米国の業界団体からは「米国製造業の復活」という言葉さえ聞かれたという。未曾有の金融ショックが発生した以上、中村会長自身、今後の環境悪化は覚悟しているものの「(受注が)ドーンと落ちる状況とは思っていない」と自信さえのぞかせる。

確かに新興国市場の成長等による外需拡大で、工作機械需要の構造は大きく変わった。かつては内需依存体質のうえ、内需の大部分を占めた自動車産業からの受注次第で業績がジェットコースター的に上下したが、近年の世界市場拡大によって受注は安定感を増している。今回「曇り」予想を変えないのは、その点が大きい。

とはいえ、需要が大崩れしない前提に立つとしても、このままリーマンやAIGの影響で円高が進めば、海外向けの採算は確実に悪化する。「会社四季報」秋号では、大半の工作機械メーカーの予想利益を減額修正したが、下期の為替動向によっては、もう一段減額しなければならなくなる恐れも生じるだろう。

9月の受注はIMTS効果で、ある程度強めの数字になると期待されている。逆に、IMTSがあったにもかかわらず弱い数字しか出なければ、今後の受注は相当厳しいと見込まざるを得ない。大崩れの最悪シナリオはあるのか−−。注目の9月受注(速報)は10月9日午後公表される。
【内田 史信記者】

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