【産業天気図・住宅/マンション】依然、購買層の求める価格水準に達せず、市場低迷で冷たい雨降り続く
08年10月~09年3月 | 09年4月~9月 |
住宅・マンション業界の天気は2008年度後半、09年度前半とも「雨」となりそうだ。
年明け以降、不動産関連企業向けの融資が急速に選別色を強めており、ゼファー、アーバンコーポレーション、創建ホームズなどの倒産が続いている。また、マンションや住宅購買層の様子見気分は予想以上に広がっており、マンション調査会社トータルブレインの久光龍彦社長も「ここ2カ月で50社ほどのマンションデベロッパーを回ったが、厳しさは想定以上で、都心の駅前立地か再開発案件の一部など以外は売れていない」と話す。
9月半ば発表された不動産経済研究所の8月のマンション販売状況では、首都圏の供給戸数は前年同月比38・8%減の2041戸と依然減少が続く。一方、契約率は好不調の分かれ目である70%を3カ月ぶりに上回ったが、これは「販売が少ないうえに、駅近の人気物件が奏功した結果」(福田秋生企画部長)で、回復の兆しと見るのは早計のようだ。また、在庫総数である全残庫数も1万504戸と前月を381戸減少したが、依然、1万戸台で、02年12月の1万1611戸に迫る水準に変わりはない。
厳しい環境が続く中、ビル賃貸部門を持つ大手不動産会社はともかく、マンション専業会社の今期業績見通しは軒並み減益予想だ。例えば、大京<8840>の今09年3月期営業利益前期比53・4%減の145億円、日本綜合地所<8878>が同18・8%減の112億円、ゴールドクレスト<8871>は同30・1%減の176億円、コスモスイニシア<8844>が同9・8%減の162億円となる見通しだが、現況ではさらなる業績悪化の可能性もあり得る。
ここへきて購買層が求める価格と販売価格のミスマッチを修正する動きが出ているものの、購買層が動き出すような水準までの引き下げは少ないようだ。こうした中、8月25日に登録が締め切られ、9月5日に抽選された住友不動産の「品川シティタワーズ」(総戸数828戸)は坪単価が周辺地域の3分の1程度だったことから平均倍率17・65倍という高倍率になった。安さの秘密は70年の定期借地物件ということだが、5年間の居住後の転売が可能で、価格水準次第で実需が出てくることを証明した格好だ。
【日暮 良一記者】
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