生徒が先生を評価するシステムを導入せよ

藤原和博(その9)

過去10年、日本の仕事をめぐる状況は様変わりした。
『10年後に食える仕事 食えない仕事』。仕事の未来をマトリックスで4分類している。
インド、中国では毎年数百万人単位でハングリーな大卒者が誕生。また、ネット・通信環境が大きく改善したことで、定型業務やIT開発を新興国へアウトソーシングできるようになった。仕事の枠を日本人同士で争っていればよい、という時代は終わった。さらに、人口減少に伴う国内マーケットの縮小も追い打ちをかけている。
これから日本の仕事はどう変わるのか? 10年後にも食えるのはどんな仕事なのか。当連載では、ベストセラー10年後に食える仕事 食えない仕事の著者であるジャーナリストの渡邉正裕氏が、仕事のプロたちとともに、仕事の未来像を探っていく。

(司会・構成:佐々木紀彦)

【対談(その8)はこちら

——前回の対談では、教育再生会議の問題点などについて話を伺いました。最終回となる今回は、学校の実務の現場を知る藤原さんに、学校のマネジメントについて、さらに話を伺いたいと思います。

渡邉:前回、学校の先生をABCDで評価しているという話がありましたが、そのシステムはうまく機能しているんですか?

藤原:たとえば東京都は、もう10年ほど前からSABCDの5段階で評価しています(Sが最高、Dが最低)。ただ、評価に関して大変なのは、指導力不足の教員にかぎって、訴訟を起こしたりすることなんですよ。それがすごく面倒くさい。

渡邉:それはありそうですね。

藤原:訴訟されたときには、保護者が先生の問題点を証言するだけでは不十分で、データが揃っていないといけない。その意味で、評価のデータを残しておくことは大事になります。 はっきり言えば、ABCのどの評価でも、給料はそんなに変わらない。民間企業であれば、ボーナスに100万円くらい差がつくところもあるけれど、先生は公務員だからそういうことはないんです。

渡邉:評価によって、給料の上がるスピードは変わるんですか?

藤原:昇給スピードが上がるのは、最高のSの評価がついたときだけ。たとえば、教務主任として圧倒的に指導力がある人とか。だいたい300人くらい生徒のいる学校で、Sがつくのは1人〜3人ぐらいだと思う。S評価でもボーナスはさほど変わらないけれど、退職金算定の際に、どこの評価までいったかは加味されるので、教員も多少は気にしますね。

渡邉:これは相対評価ですか? 必ず一定割合の教員には、SやDの評価をつけると決められているんですか。

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