(司会・構成:佐々木紀彦)
【対談(その8)はこちら】
——前回の対談では、教育再生会議の問題点などについて話を伺いました。最終回となる今回は、学校の実務の現場を知る藤原さんに、学校のマネジメントについて、さらに話を伺いたいと思います。
渡邉:前回、学校の先生をABCDで評価しているという話がありましたが、そのシステムはうまく機能しているんですか?
藤原:たとえば東京都は、もう10年ほど前からSABCDの5段階で評価しています(Sが最高、Dが最低)。ただ、評価に関して大変なのは、指導力不足の教員にかぎって、訴訟を起こしたりすることなんですよ。それがすごく面倒くさい。
渡邉:それはありそうですね。
藤原:訴訟されたときには、保護者が先生の問題点を証言するだけでは不十分で、データが揃っていないといけない。その意味で、評価のデータを残しておくことは大事になります。 はっきり言えば、ABCのどの評価でも、給料はそんなに変わらない。民間企業であれば、ボーナスに100万円くらい差がつくところもあるけれど、先生は公務員だからそういうことはないんです。
渡邉:評価によって、給料の上がるスピードは変わるんですか?
藤原:昇給スピードが上がるのは、最高のSの評価がついたときだけ。たとえば、教務主任として圧倒的に指導力がある人とか。だいたい300人くらい生徒のいる学校で、Sがつくのは1人〜3人ぐらいだと思う。S評価でもボーナスはさほど変わらないけれど、退職金算定の際に、どこの評価までいったかは加味されるので、教員も多少は気にしますね。
渡邉:これは相対評価ですか? 必ず一定割合の教員には、SやDの評価をつけると決められているんですか。