岡島悦子「勉強や資格より、実践と人間力」 まずはバッターボックスに立つ

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日本の新しいモデルを創る「新世代リーダー」とはどんな人なのか。どんな能力、教養、マインドセット、行動が必要となるのか。国内外のリーダーを知り尽くした、各界の識者たちに「新世代リーダーの条件」を聞く。
第7回目に話を聞くのは、当サイトで「女性はどうすれば出世できるのか?」を連載する、岡島悦子プロノバ社長/グロービス経営大学院教授。経営の「プロ人材」紹介を行うヘッドハンターとしての経験を踏まえながら、新世代のリーダーに求められるものについて語る。

急増する“お勉強くん”

環境変化が非常に激しい今の時代、重要なのは変化への適応力だと思う。もう少し言うと、どんな時代でもサバイバルできる、どんな環境に置かれても自分の頭で考え稼げる人材=「自律型変革適応人材」が求められている。

MBA的経営知識や論理思考力等を努力して身に付ければ何とかなるだろうという「お勉強ブーム」が一時期発生した。確かに、ビジネスを実行する上での経営知識やスキルはとても重要だが、これらはビジネスを実行する際の基礎的な筋肉であり「手段」である。しかし最近では、ともすると、「お勉強している私が好き」「努力していることで安心する」というふうに、手段が目的化している人たちが多くなってしまったように見受けられる。

私たちのようなヘッドハンターが経営者候補を判断する際の材料は、「再現性のある知識がどれだけあるか」と「それを実践して結果を出す力がどれだけあるか」の2つ。言い換えれば、「経営知識・スキル」×「業務上の実績」の2つを掛け合わせたものが市場価値だと思っている(下図参照)。

 いわゆる“お勉強くん”は、知識のほうばかりを増強することに力を注いでしまっている。MBAを修了しただけでは「経営はわかるが、できない(やったことがない)」ということである。

「実践する機会の獲得」のための努力をせず、MBA修了後もやたらとお勉強ばかりに血道をあげてしまう人がいる。せっかく武器を取得したのにまったくバッターボックスに立たず、試合を見ながら球拾いをしているようなものだ。戦略コンサルタントの方々も、最近は「ハンズオン経営支援をしています」とおっしゃるが、ハンズオンで自身がどこまで再現性のある「実践」を行えているのかがポイントとなる。

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