佐藤優(上)「死から逆算して生きよ」

「新世代リーダー」の作法

 日本の新しいモデルを創る「新世代リーダー」とはどんな人なのか。どんな能力、教養、マイ ンドセット、行動が必要となるのか。国内外のリーダーを知り尽くした、各界の識者たちに「新世代リーダーの条件」を聞く。
 第1回目は、『週刊東洋経済』で 「知の技法 出世の作法」を連載している作家の佐藤優さんが、組織でトップを目指す人間に求められることを語る。

 

日本のロールモデルを目指すような人たちは、まず目的論的な思考をすべきだ。世界では目的論的な考え方が主流なのに、日本ではポストモダン的な思想が強く、目的論が否定されてしまっている。しかも、日本の仏教的な土壌では、すべては縁起から成り立つという考え方が強い。

大きな物語がないところで、ポストモダンということになると、何もなくてただ現象面だけに漂流することになる。たとえば、スキルだけをやみくもに追ったりしてしまう。

だから、どんな目標でもいいから、まず目標を持つことだ。そして、自分が社長なり会長になったときに、何をやるかというふうに、終わりから考える。

棺桶に入るとき、死ぬときのことも考えたほうがいい。ギリシヤ語でいうところのテロス。これは、終わり、目的、完成という意味だ。後ろから逆算して考えて、今は何をやるかという組み立てをすることがいちばん重要になる。

耳学問の前に、基本を勉強せよ

それから、大きな矜持を持って、小さなプライドを捨てることだ。特に重要なのは、知らないことと知っていることの仕分け。知らないことを知ったかぶりしてはいけない。そのうえで、ちゃんとした手続きに従って、積み重ねて勉強していけばいい。

大切になるのは全体の見取り図だ。たとえば、これから中国マーケットが非常に重要になるとして、35歳の人が、仕 事で使えるような中国語を習得するとなると、大体5年間はかかる。もし40代後半であれば、記憶力が鈍るのでもっと時間がかかる。そのあたりの時間的なコ ストの仕分けをしないといけない。

各論を学ぶ際には、確立した学術論文や本から基礎知識を身につけたほうがいい。そのうえで、耳学問、勉強会であるとか、同業者間のフェイスブックであるとかに入っていけばいい。その順番を間違ってはいけない。

次ページ執行役員までなら努力でいける
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 就職四季報プラスワン
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
  • ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
三菱重工と日立 「統合」破談から<br>10年 製造立国の岐路

10年前に統合構想が破談になった三菱重工業と日立製作所。その後両社は対照的な道を歩み、2009年に伯仲していた時価総額は今や日立が大きく上回っています。本特集では明暗が分かれた三菱重工と日立を主軸に、製造立国・日本の生きる道を探りました。

東洋経済education×ICT