佐藤優(上)「死から逆算して生きよ」 「新世代リーダー」の作法
ほかにも、日本の教育には構造的な欠陥がある。理科系の人たちは、歴史や古典をほとんどわからないし、文科系の人は、数学がすってんてんの人が非常に多い。これは危ない。これほど異常にバランスが悪いのは日本ぐらいだ。韓国や中国でもここまでバランスは悪くないと思う。
日本に多いのは、ピンポイントで一定の分野は深く知っているけれども、あとは全然知らないという人だ。これでは応 用が全然利かない。しかもインターネットがその傾向を加速させている。インターネットの場合、自らが選択しているという形になるから、自分で理解できるも のか、共感できるものしか読まなくなる。
今のままだと、日本のエリートの劣化が止めどなく進む。そうした状況を打開するには、組織と折り合いをつけられるギリギリのところで、海外に留学するとか、何らかの自己実現を図っていくしかない。
上にいく人は、組織にどっぷり入る
組織を飛び出すと、一瞬のある短期間においては、上昇しているように見えることがある。しかし、人間は怠け者だから、長続きするのは難しい。組織というのは人を引き上げてくれるところがあるから、やっぱり重要だ。組織を敵と考えるのはよくない。
むしろ、組織をうまく利用することを考えるべきだ。
私だって、外務省という組織がなければ、ロシア語は身につかなかったし、政治エリートと付き合うこともできなかった。今はフリーランスにならざるをえなかったからなっている。そもそもフリーランスはまったくフリーじゃない。あくまで、制約の中における自由にすぎない。
組織に所属しながら、半分フリーランス的に生きることを考える人もいるが、組織というのはそんなに甘くない。そうしたケースは、どちらかというと組織にとって役に立たない人が、自然にはみ出していく形で起きる。
組織というのはすごく吸心力あるから、実力があって上に行こうとしている人は、どんどん中心に吸い寄せられていく。どこの国でも会社でも、上に行く人たちは、組織にどっぷり入っているし、出世する人は生え抜きの人が非常に多い。(続きは11月13日に公開します)
(撮影:尾形文繁)
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