佐藤優(上)「死から逆算して生きよ」

「新世代リーダー」の作法

「出世は運と関係する」ということにも関係するが、人生を歩むうえで、宗教的な何か、超越的な何かは持っていたほうがいい。どの宗教であるかは関係ない。ご先祖様でも、お母さんでも、お父さんでも何でもいい。

誰にでも、最終的に宗教がどこかで必要になる。人間には、時間も可能性も永遠ではないという制約条件がある。その死と向かい合うことから宗教が出てくる。無宗教の人でも、死に関しては何らかの理屈が必要になってくる。

宗教学の基礎を知っていれば、たとえば、靖国神社に代替する宗教的に中立な追悼施設を作るということが、ありえないことがわかる。追悼という行為自体が宗教的だから、それは人造宗教、国家宗教をつくるということになってしまう。

白熱教室よりも、古い形の勉強を

いわゆるリベラルな人や、靖国神社のA級戦犯合祀に反対する人たちは、宗教的に中立な国の追悼施設だったら構わな いと言うが、公設したら完全な国家神道と同じになってしまう。それは他の宗教の上に立つ宗教をつくることになる。宗教学の基本的な知識に欠けているから、 事実上、そういう議論が出てくる。

重要なのは、超越的なものや、宗教について無定義のままに話をしないことだ。ところがポストモダンの洗礼を受けて いる30代、40代の人たちは、定義というもの自体を拒否する傾向がある。「定義自体に意味がない」というのが、知的な訓練を受けている人たちの主流な考 え方になっている。

今重要なのは、ちょっと古い形の勉強だ。たとえば、公務員試験も司法試験も、資格試験は基本的に古い形の勉強といえる。資格勉強というのは、何らかの明確な定義に基づいて、そのうえで運営していく能力を磨くものだ。

あるいは大学入試の勉強でもいい。それも東大とか一橋とか慶応とか難しい大学の入試ではなくて、大学のセンター試験でいい。ああいう基礎的な知識を確認する試験は、定期的に受けておく必要があるのかもしれない。そうすれば、つねに高校レベルの学力を維持できる。

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