坂本龍馬は英雄なのか、ヒトラーがいなければ戦争は起こらなかったか、浮世絵がなぜハゲ山だらけなのか……歴史の裏の裏まで見えてくる

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浮世絵
年号と出来事を覚えるよりもっと大事なことがある(写真:zon/PIXTA)
坂本龍馬は本当に英雄なのか、ヒトラーがいなければ戦争は起こらなかったか、浮世絵がなぜハゲ山だらけなのか、イスラエルとパレスチナはどちらが悪いのか……。
歴史をめぐるこういった素朴な疑問に、今の学校教育が対応できているとは言えなさそうだ。とはいえ、大人になってから歴史を学び直す必要性を感じている人も多いだろう。
韓国でシリーズ300万部のミリオンセラーとなり、一大教養ブームを巻き起こした『全人類の教養大全』では、教養を「幅広くて浅い知識」と定義し、単なる知識の羅列ではなく、この世界が歴史的にどうやって成り立ってきたかという「世界観」を学ぶことを勧めている。
学校で学ぶ歴史では見えてこない「世界観」を、ジャーナリストの佐々木俊尚氏に解説してもらった。

坂本龍馬と「英雄史観」

本書にある「英雄史観」の話はおもしろいですね。

本書には、ヒトラーがいなければ、ドイツは戦争を起こしていなかったのかというと、そんなことはないだろうと書かれています。

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第一次世界大戦で敗戦したドイツは、莫大な賠償金を課せられてハイパーインフレに陥り、困窮していました。打開策を求めるしかなく、それが排外的なユダヤ人排斥や、戦争を仕掛けるという行為だったと考えれば、誰でも同じことをしていた可能性はあるでしょう。

ただ、ヒトラーという強烈な人物がいたことで、あの戦争が起きたのは間違いない。別の人物なら別の形になったとも考えられます。

日本も同じです。歴史小説では、坂本龍馬のような英雄ものがよく読まれます。確かに、坂本龍馬はかっこいいと思います。しかし、開国と明治維新においては、大した役割を果たした人物ではありません。

歴史学の中では、英雄は1つのコマに過ぎず、時代背景や社会の力学のほうが重要です。

たとえば、幕末には、帝国主義的欧米列強が迫っていて、日本も植民地化されるのではという危機感がありました。さらに、鎖国をしている中で急激に人口が増え、食糧自給と人口増とのバランスが崩れていきました。

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