坂本龍馬は英雄なのか、ヒトラーがいなければ戦争は起こらなかったか、浮世絵がなぜハゲ山だらけなのか……歴史の裏の裏まで見えてくる

坂本龍馬と「英雄史観」
本書にある「英雄史観」の話はおもしろいですね。
本書には、ヒトラーがいなければ、ドイツは戦争を起こしていなかったのかというと、そんなことはないだろうと書かれています。
第一次世界大戦で敗戦したドイツは、莫大な賠償金を課せられてハイパーインフレに陥り、困窮していました。打開策を求めるしかなく、それが排外的なユダヤ人排斥や、戦争を仕掛けるという行為だったと考えれば、誰でも同じことをしていた可能性はあるでしょう。
ただ、ヒトラーという強烈な人物がいたことで、あの戦争が起きたのは間違いない。別の人物なら別の形になったとも考えられます。
日本も同じです。歴史小説では、坂本龍馬のような英雄ものがよく読まれます。確かに、坂本龍馬はかっこいいと思います。しかし、開国と明治維新においては、大した役割を果たした人物ではありません。
歴史学の中では、英雄は1つのコマに過ぎず、時代背景や社会の力学のほうが重要です。
たとえば、幕末には、帝国主義的欧米列強が迫っていて、日本も植民地化されるのではという危機感がありました。さらに、鎖国をしている中で急激に人口が増え、食糧自給と人口増とのバランスが崩れていきました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら