岡島悦子・プロノバ社長--おカネを超えた高次なエゴを持っている《私のアラサー論》
インターネット以降の起業家には3世代あると思う。楽天の三木谷浩史さん、ディー・エヌ・エーの南場智子さんら第1世代は、MBAやコンサルなどで経営を学び、戦略的に起業した左脳系の方が多い。
次に、サイバーエージェントの藤田晋さんら第2世代は、「社長になりたいから起業した」というタイプで、現場で経営を学んでいった、直感に優れた方が多い。
それに対し、グリーの田中良和さん、ミクシィの笠原健治さんら第3世代のアラサー起業家は、上の世代と体質が違う。欲も毒もあまりない。組織を大きくして営業で勝つというより、技術志向が強い。個人でやりたいことをやっていたら会社になり、気がついたら社会の公器になっていたという自然派の起業家が多い。
この世代がそうなった背景には、ITが身近だったことと、起業コストの低下がある。ただ、それ以上に大きかったのは、就職氷河期で優秀だけど希望の会社に行けなかった人が多く、仲間を集めやすかったこと。また、この世代は最優秀層が外資系に行っていて、3年ぐらい働いた後に、ベンチャーへ転職する人もいる。
学生時代からベンチャー企業でインターンをしているので、ベンチャーに対する抵抗感がないのも一つの特徴だ。組織から守られることを信じておらず、自分の食いぶちは自分で稼ぐという自律的な人も多い。
ただ一方で、この世代は右肩上がりの経済の恩恵を受けておらず成功体験が少なく、人に認められたいという認知欲求が強い。
いつも「このままではいけない」という思いに突き動かされていて、それ自体は悪くないが、手っ取り早い処方箋に走る傾向がある。安易なビジネス本に熱中したり、自分の実体験と関係なく、あこがれだけで社会起業家になる人も少なくない。