藤原:それは、すごくいい質問なんですよ。私は、人件費という資源に限りがない場合は、絶対評価がいいと思う。けれども、教員の総人件費のように資源に限りがある場合は相対評価でいいと思っているの。実際、東京都では教師は相対評価になっている。
でも、大阪の場合は、教員に対して絶対評価で、生徒に対して相対評価になってしまっている。本来、これは逆であるべきだよね。じつは、生徒に対して絶対評価にするのは、ものすごく手間がかかるし、学校ごとのバラつきが大きくなるんですよ。府立高校や都立高校は内申点をすごく重視するんですが、評価を厳しくつける学校の生徒は、評価が甘い学校の生徒に比べて不利になってしまうでしょ。
そこで、東京都では、学校ごとのバランスを合わせるために、各校の校長が年に1回集まって、「おたくの学校には、1、2の低い評価の学生がいないのはおかしいんじゃないですか」といった感じで相互チェックをしている。これを10年間続けてきた東京都では、絶対評価が定着しているんです。
でも、大阪は面倒くさいからか、そうした努力をまだやっていない。相対評価のほうが簡単だから。一方で大阪は、教員に対しては絶対評価なのよ。これは、おかしいでしょ? 結局、組合との関係で今のようになっているんだと思うけれど。
渡邉:そうすると、今の評価システムはあんまり機能していないんですね。
藤原:評価しないよりは、はるかにいいと思うけどね。
渡邉:今のシステムでは、誰が評価を下すんですか。
藤原:教員については校長と教頭です。
渡邉:保護者は全く入ってこないんですね?
藤原:教員の評価とは別に、学校評価というのがあって、保護者や地域の人たちにも点数をつけてもらっています。「この学校の先生は、困ったときにすぐ相談に乗ってくれますか」といった質問が24項目くらいあるやつです。学校評価はリクルートがよくやるリーダーシップ調査と似ていて校長のマネジメントに対する通信簿みたいな感じだね。
教育委員会は学校評価の結果をなるべく公表するように指導していて、結果をコメントとともに、ホームページに掲載するところも東京では増えてきています。