伝統文化の継承を担うはずだった
車が行きかう街道沿いに、人の気配が消えて久しい木造の建物がある。江戸時代より伝統工芸品を制作する家系が代々切り盛りしてきた工房だ。本当ならヨシツグさん(仮名、38歳)がここで家業を継ぐはずだった。
しかし、今は別の街で障害年金を受けながら暮らす。1年ほど前に勤めていた会社を雇い止めにされた。新しい仕事が見つからないまま、昨年秋には失業保険の給付も切れた。その後はわずかな貯金を切り崩しながら生活している。
「何十社、履歴書を出してもカスリもしない。不採用の連絡の毎日に精神的に疲れてしまいました。ハローワークに行っても、もう応募できる企業がないんです。障害者は生活保護という道しかないのでしょうか」


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら