「生活保護から抜け出せなくなる」38歳男性の絶望 「働きたいと願う障害者」の働く場所がない

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取材で話を聞いているときも、ヨシツグさんは「新たに書類選考や面接をして人を雇うより、経験のある人に働き続けてもらうほうが会社にとってもいいはずですよね。どうして5年で雇い止めにするのか、理由がわからない」と訴えた。

同感である。しかし、実際には多くの企業、団体が非正規労働者の雇い止めと新規採用を繰り返す。多くの場合、その理由は労働者に契約更新の期待を抱かせず、いつでもクビにできる“雇用の調整弁”を確保するためだ。無期転換ルールができた後も、雇用期間の上限をあえて5年にしたり、無期転換直前に雇い止めにしたりといった「無期転換逃れ」が疑われるケースが相次いだ。そしてこれらは障害者に限った話ではない。

私がそう説明すると、ヨシツグさんが「いずれにしても使い捨てじゃないですか」とため息をついた。

「もう応募できる企業がない」

雇い止め後は就職活動に明け暮れた。その間、パソコンスキルを上げるための資格も取得したが、在宅勤務という条件がネックとなり、採用にはつながらなかった。ついにハローワークの相談員から「もう応募できる企業がない」と“通告”される。

ならばと、一般企業での就労が難しい障害者が働く就労継続支援A型事業所も探したが、地元には在宅勤務のできる事業所はなかった。県外で見つけたものの、月1回面接のために事業所まで出向かなければならないと聞き、諦めた。自治体の議員あてに相談のメールも送ってみたが、返信はなかったという。

「自殺未遂を繰り返したことへの負い目はあります。でも、殺人とかの罪を犯したわけじゃありません。自分みたいな障害者だって食っていかなきゃいけない。それなのに障害者は誰の目にもとめてもらえず、社会から追いやられている。障害者は、実家に余裕があるか、十分な年金をもらえている人以外は生活保護を受けろと言われているようなものです」

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