「想像以上に老朽化進んでいた」 「築70年超のボロボロ団地」なぜ満室? 入居者の"意外な用途" 90万円で団地を落札したオーナーに聞いた"仕掛け"

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門司港1950団地
「門司港1950団地」緑に覆われたままのB棟(筆者撮影)
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築70年超なのに、入居率は100%、月1万円で入居できる団地が福岡県北九州市にあると聞き、現地に足を運びました。現地で見た団地は、想像以上に老朽化が進んでいました。いったい誰がどんな目的で借りるのでしょうか。取材しました。団地のリノベーション状況などは取材時点。

老朽化が進行する団地の再生はできるのか

筆者はかつて、福岡市のある公営の共同住宅団地に住んでいたことがある。それは出生時から3才くらいまでのことで、だから当時の暮らしについての記憶にはない。家族のアルバムを開いて確認できるだけだ。ただ、その団地を訪れてみたところ、それから約50年が経過した今でも建物が残り、人々の暮らしの場であり続けていた。

福岡市 団地
福岡市にある団地。ここは丘陵地にあり、車がないと毎日の上り下りが大変。そのため空室率が高くなっている(筆者撮影)

団地の多くは高度経済成長期(1955年~1973年)にかけて供給されたもの。住宅取得に難があった当時、専用のキッチン、トイレ、浴室が完備され、食事、だんらん、就寝の場が分かれている間取りでの暮らしは庶民のあこがれの的であり、入居するには高い倍率の抽選をくぐり抜ける必要があった。筆者の両親も幾度かの抽選漏れを経て入居できたのだそうだ。

しかし今、団地は老朽化が進行。当初入居した世代がそのまま高齢化する一方、若年世代に選ばれなくなり空室が増加している。また、近隣にあったスーパーや商店などがなくなり、そのためコミュニティの活性度が大きく下がっている団地が多い。

決して人気が高いとはいえない団地は、再生することが求められている。再生とは、入居率が改善され、かつそれによって団地はもちろんのこと、できれば周辺全体のコミュニティが活性化するということである。

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