「想像以上に老朽化進んでいた」 「築70年超のボロボロ団地」なぜ満室? 入居者の"意外な用途" 90万円で団地を落札したオーナーに聞いた"仕掛け"

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「配管・配線は劣化していたが、壁が厚い壁式工法だったこともあり、建物の構造体はまだ使える」と判断した吉浦ビルの吉浦隆紀さんは、解体・建替ではなく、建物を改修して再生することを選択した。A棟では電気、水道、ガスのライフラインが確保され、一部の部屋では改修が終わり事業の場としての営業が始まっている。

学生が卒業制作として改修

入居率100%を実現できたのは、月額家賃が1万円という点が大きいだろう。入居者が気軽に負担が少なく、自分のやりたい空間を作り、事業を行えるという点に尽きる。入居者自らがDIYをして改修する必要があるが、工具などを借りられるうえ、その使い方やデザイン上のアドバイス、さらには吉浦氏らから手伝いをしてもらえたりもする。

取材時はさまざまな改修が進行中だったが、興味深かったのは学生が部屋を借りていたケース。1階にあるその部屋は、床を取り外して、そこに床下暖房を配置する大がかりな改修を行っていた。複数人で月額家賃1万円を支払うため、負担が限りなく小さく済む。完成した部屋は、卒業制作の作品にもなるとのことだった。

学生が改修に取り組んでいる部屋の様子(筆者撮影)

ブックカフェのオープンに向けて改修作業に来ていた女性入居者に話を聞くことができた。すでに部屋を借りていた友人から紹介を受け、興味を持ったのがきっかけ。一人暮らしから実家に戻る際に、大量に所持していた本を実家に戻すより、この団地の1室に持ち込み、「身内が読書を楽しめる本の閲覧室」のような場にすることを思い立ったのだそうだ。

建物のくたびれ具合について気にならないのだろうか。その点について聞いたところ「新しいきっちりしたものよりも、古い建物のほうが面白い。綺麗じゃない、むき出しな感じとかがすごくいいなと思っています」と話していた。

ブックカフェオープンのため作業が行われている部屋の様子(筆者撮影)

作業中の様子も見せてもらったが、ペンキまみれになった作業着を着用し、緩やかに流れる時間の中、自分のペースで作業する様子が地域のレトロな雰囲気と重なっているようで、とても印象的に感じられた。

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