親子の会話は「子9割:親1割」がちょうどいい訳 コミュニケーション力が育ち「自分で決められる子」に

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人の話をしっかり聞くのは大変ですよね。特に子どもは要点を整理して筋道を立てて話す能力が未発達ですから、仕事や家事に忙しい私たち親にとっては、途方もなく長い時間に感じられてしまいます。

でも、「親が話をしっかり聞くこと」が、子どものコミュニケーション力を伸ばすために一番必要な方法だと知ったらどうでしょうか?

親がたった数分手を止めて、子どもの話を聞くことに徹する。この時間が子どもにとっては、「自分の話をしっかり受け止めてくれている」と感じられるとても大切な時間になります。

子どもは受け止めてもらえることの安心感と信頼感から、他者を受け入れる姿勢を自然と手に入れます。これによって、将来のコミュニケーション力の土台が形成されるのです。

親子の会話原則は「子ども9:親1」

毎日忙しくて、なかなか子どもの話を聞く時間が取れないという方は、周囲にいる「聞き上手な人」を思い浮かべてみてください。彼らは何ができているのでしょうか?

話の聞き方には、パッシブリスニング(受け身の聞き方)と、アクティブリスニング(双方向の聞き方)の2種類があります。

パッシブリスニングとは、相手の話を聞く側に徹し、こちらから発言をしないタイプの聞き方です。適度な相槌やうなずきなどはあるかもしれませんが、基本的には黙って話を聞きます。

アクティブリスニングとは、1957年にアメリカの臨床心理学者カール・ロジャース博士が提唱した相手の話を聞くときの姿勢や態度、聞き方の技術です。相手が発する言葉だけでなく、その奥にある感情や気持ちの変化まで、会話から読み取ろうとする聞き方だといわれています。これこそが、「聞き上手な人」の話の聞き方です。

最近の研究では、アクティブリスニングで話を聞けるようになると、理解力がアップし、自分に自信が持てたり、友人関係が良好になったり、メンタルが安定したりするといわれています。コミュニケーションが円滑に進むだけでなく、成績や自己肯定感アップにまでつながる聞き方です。

つまり、相手の話を聞く際にはただ聞くだけではなく、「積極的に話を理解しにいく姿勢や返答」が必要なのです。

ここから導かれる子どもとの会話の原則が、「子ども9:親1」です。

(画像:『自分で決められる子になる育て方ベスト』より)
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