子の「一番」を褒めるとやる気をなくしかねない訳 比較の褒め方は比較対象が変わると容易に結果が変わる

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女の子を叱る母親
子どもに「自分で考える力をつけてほしい」と望むなら、使ってしまいがちな余計な一言に注意したほうがいいかもしれません(写真:Taka/PIXTA)
「どうして小学2年生にもなったのに、ボロボロこぼして食べるの? 恥ずかしいからもうレストラン連れて来ないからね」
いつもより少しいいお洋服を着て、おしゃれな靴を履き、ウキウキと外食に出かけたのも束の間、落ち着きのない子どもについ余計な一言を言ってしまう。でも、この「恥ずかしい」という一言が、実は自分で考える力を奪ってしまうとしたら……。
年間500本以上の論文を読む著者が厳選した世界の研究を根拠としてまとめた『自分で決められる子になる育て方ベスト』より一部抜粋、再構成してお届けします。

そもそも親と子どもは全く別の人間

「子どもが○○をできなくて恥ずかしい」という発言ですが、実はこの裏には「しっかりしつけていない親だと思われると“私が”恥ずかしい」という気持ちが隠れています。子どものためを思っているようでいて、自分への評価を気にしてしまっていることがほとんどなのです。これでは自分と子どもの存在が思考の中で混ざってしまっています。

子どもに「考える力をつけてほしい」と思っているのであれば、最初に気をつけなければいけないことがあります。

「自分と子どもは別の人間である」と自覚することです。

これまでの教育学や心理学のたくさんの研究から、「羞恥心」や「罪悪感」を使って脅すことで行うしつけが、さまざまな身体的・心理的な発達上の弊害を生むことがわかってきています。

2006年に行われたバージニアコモンウェルス大学の心理学部の研究者らが行った47の論文を統合分析した研究(メタアナリシス)では、保護者が子どもを拒絶・放置することよりも、さまざまな理由をつけてコントロールすることの方が、子どもの心に不安感や不安定感を植えつける可能性が高くなることが示唆されています。

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